版画実習Ⅳ(3年次)

bEAuTy or rEgulATion?

いずみ紙、リトグラフ|H500 × W500mm × 4点

自由に版種を選んで作品をつくり、油絵専攻と合同の展覧会で発表する授業です。作品のテーマは「食を隠す」。食肉が敬遠されていた時代、肉には「さくら」や「もみじ」といった隠語を使ってまで食したい魅力があったと思いますが、現代は肉の見た目や格付けが重視されているように感じます。焼き肉店のアルバイトで感じたことをヒントに、「beauty(美しさ)」に食を隠すのか、それとも「regulation(条例)」に食を隠すのかを問う作品ができないかと考えました。この授業での一番の収穫は、自分自身の版画のスタイルを確立できたことです。「版画実習Ⅳ」は3年次後期の最初の授業だったので、さまざまな版種に触れてきた経験や学びの成果を存分に発揮できるタイミングでした。ムサビの版画専攻は先生との距離が近く、作品に合わせた技術を丁寧に教えてもらえるアットホームな雰囲気が魅力。4年次には石版石を使った伝統的なリトグラフも学べるため、とても楽しみです。(3年|神谷真帆)

版画実習Ⅳ(3年次)

夜映え

和紙、木版、油性インク|H980 × W980 × D1mm

日頃から「人間関係」をテーマにしています。今回は、私が母のお腹の中にいるとわかった頃に亡くなってしまった父の姉と、私との関係を表現しようと考えました。限られた制作期間の中で自分の内にある“何か”をかたちにするためには、計画をしっかり練ることが重要です。特に版画は、版を彫り、刷るという行為を経ることで、予想とは違うものが表れてきます。この作品は彫刻刀以外の道具で版をつくり、着色にも油性インクを用いているため、事前にドローイングや小さな作品でメーカー別のインクの色味を確認し、本格的な制作に入ってからは、一日が終わるごとに翌日の予定の確認と練り直しを欠かさないように注意しました。1メートル近い作品は制作したことがなく、和紙を補強する裏打ちも初めて挑戦しましたが、3年次前期までに学んだ技法や知識、経験を生かし、版の重なりや色味すべてに意味を持たせて、ひとつひとつの行為やプロセスを大切にできたと思っています。(3年|鈴木あかね)