平面色彩構成 2年次開講

Photoshop|H2160 × W4096px

コンセプトアーティストの指導のもと、初めて取り組んだ本格的なデジタル表現

小説や楽曲などから好きな作品を選んで、そのワンシーンを描き起こす授業です。コンセプトアーティストとして著名な緒賀岳志さんを特別講師に、授業の前半ではPhotoshopやIllustratorを用いたデジタルペインティングの描画テクニックを学び、後半では実制作に取り組みます。1年次の選択科目で基礎デザイン学科の授業を受講してアプリケーションに触れてはいたものの、ペンタブレットで描くのはほとんど初めてで、先生や友人に教わりながら何とかかたちにすることができました。
作品の世界観を具体化するうえでこだわったのは、自分なりの解釈を加えること。モチーフにした小説の描写とは異なるアプローチで、背景の城や空を中心に描きました。個人的に気に入っている構図ではありますが、ブラシツールの扱い方が未熟で全体的にぼやけた印象になってしまっていたり、描き込みが足りないところが課題点です。今回の学びを生かして、デジタルツールを用いた制作にも取り組んでいきたいです。
(2年|佐藤璃果さん)

版画実習Ⅱ 3年次開講

『KINOKO KAIGI』

シルクスクリーン│紙、布など|H220 × W155 × D10mm

デジタル化が進む今だからこそ本というメディアを大切にしたい

2年次の課題で制作した夢野久作の『きのこ会議』を基にしたブックアートを、シルクスクリーンで再度制作しました。レイアウトを変更するだけでなく、キャラクターをイチから考えてみたり設定を深掘りしてみたりと、原作を自分の世界観に寄せてつくり直しています。きのこたちの紹介を兼ねた文章は一見すると英語のように見えますが、自分で考えた文章を翻訳したうえでスペルをいじって“読めそうで読めない文章”にしたことで、きのこの世界の表記を想像させながらも「何のために誰が制作した本なのか?」という曖昧さを残してみました。版画専攻はブックアート関連の授業が充実しているし、図書館ではたくさんの貴重書や同時代の資料に触れることができます。本の世界でもデジタル化が進んでいる今だからこそ、手に持ってページをめくる感覚に集中し、作品のつくり手として新たな発見をしながら、世界中で愛されてきたこのメディアを大切にしていきたいと思っています。
(3年|永島実緒さん)

版画実習Ⅲ 3年次開講

『古典・赤上刷り』

写真製版│木材|H582 × W512 × D10mm

デザインへの関心が強くなり幅広い表現に寛容な版画専攻へ

各版種での自主制作に取り組む授業で、希望者はブックアートやイラストレーションの技法研究を並行して行います。私は架空のブランドをつくるイラストレーションの課題で制作したロゴや絵をシルクスクリーンで木材にプリントしました。木材は使わなくなった素材や道具が集められているキャンパス内の“ゴミスト”と呼ばれるリユースコーナーで見つけた、古典的なデッサンが貼られたもの。モノトーンの表現に原色のインクを載せてみたらカッコよくなるのではないかと思って制作しました。
もともと油絵専攻でしたが、イラストレーションやデザインへの関心が強くなって3年次で専攻変更しました。版画は伝統的な表現であるものの、ムサビの版画専攻は幅広いメディア表現に対応していて、マンガを描いている人もいるし、私のようなスタンスの学生にも寛容です。卒業後もクリエイティブで生きていくためにはどうすればいいのか、より実感をもって考えられるようになっています。
(3年|大瀧裕也さん)

版画実習Ⅳ 3年次開講

『Flow of time』

油性木版│紙、油性インク|H745 × W400mm

油性木版の特性を学び試行錯誤しながら絵をつくる

夏休みに実家で過ごしていて昔のことを振り返ることが多く、夢中になって好きな世界に没頭できていた幼い頃の幸せだった時間や、時が経って日々に翻弄される中で、大好きなものに触れられる時間がなくなり、背を向けてしまっていることをテーマにした連作のうちの1枚です。絵柄に合わせて油性木版に初めて挑戦しました。水性木版と違ってインクが乾きにくく一度に何版も刷れないため、色の重なりを考慮して色をつくっていくことが難しかったですが、油性木版の特性を先生に教えてもらいながら、あえてメディウムを混ぜてみるなど試行錯誤したことで、一般的な油性木版とは違った雰囲気にできたと思います。
高校生まで絵は描くものという感覚でしたが、さまざまな工程を経て絵をつくっていく版表現が自分には向いていると気付きました。絵本やイラストレーションの実習など自分の絵をほかのメディアに活用する実践的な学びができるのも、版画専攻の魅力だと思います。
(3年|道又蒼彩さん)