2020年に策定した「100周年構想コンセプトペーパー」をベースに、100周年事業に際しての「100周年構想ステートメント」、100周年事業実施に向けた「実施基本理念」と「実施方針」を定める。

1.100周年構想ステートメント

美術・デザインは過去・現在・未来のあらゆる価値観を受け入れながら、かたちを変え続ける寛容な器(うつわ)である。その包容力ある器づくりには、幅広い視野、柔軟な思考、自らを省みる姿勢、失敗を恐れない勇気が求められている。
わたしたちは教育研究の現場において、こうした学びによる陶冶を絶えず試行する。
そして蓄えてきたこの100年の教育資源を、文明・文化の進歩と発展のために社会へと還元しつつ、次の100年へと飽くなき追求心をもって世の中を牽引していく。
たゆまざる精進の意思を通じて、一人ひとりが真の自由を獲得し、より豊かな成熟を実現できる美術・デザインの教育研究の場として、永劫に世界へとその門戸を開き続ける。

2.実施基本理念

武蔵野美術大学が歩んできた100年、その時代、社会とともに発展してきた人材育成と社会貢献をあらためて検証・定義し、不断の挑戦と実践によって、美術・デザインによって未来を切りひらく先進性・創造性を創出し続ける。
大学の使命である人材育成、それは無限の可能性を秘めた創造性への挑戦であり、そこで形成されたムサビ力の実践と創造的思考力によって、新たな社会価値を創りだしていく。人材育成と社会貢献を環流させながら、次の100年に向けて持続的発展と構造改革により、道をつなぎ未来をひらき、新たな美術大学へと進化し続けていく。
日本の文化・芸術の継承、発展に寄与する矜持を持ち、次の100年に向けて世界を牽引する比類なき美術大学として発展し続けるための事業を展開していく。

3.実施方針

これまで武蔵野美術大学が培ってきた美術と美術教育の活動を検証するとともに、次の100年に向けて、教育研究力の向上を目指し、不断の教育改革を実践していくことで新たな礎を築いていく。さらに、社会に向けて美術・デザインの価値を高め、実践的にその領野を広げていくことで、美術で未来を創造する美術大学へと革新し続ける。
100周年事業では、美術教育の改革と社会価値化の推進を核として、卒業生、学生、教職員はもちろんのこと、本学を取り巻く多様なステークホルダーに向けて、大学とのエンゲージメントを一層高められるよう、文化事業、記念事業、奨学事業、建築事業などを実施していく。
これらの実施にあたっては、100周年に向けて創造的対話を重ねながら、できる改革から100周年を待たずに実践する。すなわちプロセスとしての100周年に重きを置き、次代のムサビを予見させる可能性に満ちた事業を展開するものとする。