板東孝明

板東孝明(ばんどう・たかあき)
BANDO Takaaki

専門
デザイン論、ヴィジュアル・コミュニケーション、シナジェティクス
Visual Communication, Synergetics
所属
基礎デザイン学科
Science of Design
職位
教授
Professor
略歴
2002年4月着任
1957年徳島県生まれ
武蔵野美術大学造形学部 基礎デザイン学科卒業(学士)
研究テーマ
Synergeticsの研究開発。LEDによる光のオブジェ制作。竹による多面体構造物制作。

最近のデザイン活動:'01年 Buck-minster FullerによるSynergeticsを学ぶ機会を得て、その研究・応用開発として軽金属による構造システムの制作を開始。'03年より徳島県阿南市のLEDの光イベントに参加、翌'04年日亜化学工業、日軽金の協力により「Hikari Mandala Dome」を開発・展示(グッドデザイン賞/手づくり郷土賞)。以降、テトラ、アーチ、スフィア型等、多面体構造を活かした「光と音によるイルミネーション」を制作。徳島でのイベントが認知され、その後、国内外を巡回して、毎年冬期(11月-1月)に東京ドームの屋外に展示。'08年ドイツ・ハノーバーメッセに「Gazebo Dome」と、地元企業と共同で開発した自律型LEDロボット「L-po」を出品。'09年阿南市牛岐城趾公園山頂に念願であった常設型ドームが実現。他方、現代GPに選定された本学「EDS竹デザイン・プロジェクト」の一環として、竹による超軽量多面体ドーム型シェルターを開発中。


12m Geodesic Sphere
「ジオデシックLED球」

牛岐城趾公園(徳島県阿南市)2009年
地球の約100万分の1の直径12mをもつ320面体のLED球
organization:阿南光の街づくり協議会
product:(株)光環境デザイン
photo:Akira Yonezu

自然のもつ「構造」を見つめていきたい

自然の形態を模倣するのではなく、自然がどのように構造を決定しているのかを探求すること―Buckminster Fullerが提唱したSynergeticsは、Design OS (Operation System)の大切さと自然のもつ「構造」へのまなざしを、今日のデザイナーに強く示唆しているように思われます。私たちを取り巻く巨大な経済システムの渦に弄ばれることなく、科学技術の知見と生の「かたち」の間にひそむ両義性を見つめ直し、次の時代のあるべき社会環境の形成に勤しむように。いわんや感性や差異化こそがデザインの本質と称して、お洒落なオフィスで気の利いたアプリケーションデザインづくりに浸っている場合ではない、と。ここ数年、開発に携わってきた数理的な秩序による軽量多面体構造と21世紀の灯りであるLEDを織り交ぜた光のオブジェは、自然のもつ「構造」をどう生活空間に活かすことができるのか、先端技術の特性をどのように可視化したら未来を紡ぐ子どもたちに直感してもらえるのか、という自ら立てた課題に対する成果の一端です。

Hikari Mandala Dome「光マンダラドーム」
東京ドーム 2008年
アルミ・シングルレアドーム 直径12m、高さ11m
product:(株)光環境デザイン
photo:Ichizo Itayama

Rainbow Arch「レンボウアーチ」
東京ドーム 2008年
16基のフルカラーLEDアーチ(約150mの通路)
product:(株)光環境デザイン
photo:Ichizo Itayama

Gazebo Dome「ガゼボドーム」
ハノーバーメッセ(ドイツ)2008年直径4m、高さ7m
product:(株)光環境デザイン

Luminous Robot「自律型LEDロボット」
ハノーバーメッセ(ドイツ)2008年 直径30cm
cooperation:阿南工業高等専門学校
product:大隆精機(株)・石原金属(株)


竹の未来の「かたち」を探っていきたい

竹の長い繊維とそれらを結束する節は、数メートルに及ぶしなやかで強靱な構造を自立させます。地球規模で自生し、数年で育つ循環型資源としての優れた特性があり、他方、何千年もの歳月に蓄積され、人類の生の営みを支えてきた竹の加工・応用技術があります。利便性に根ざした大量生産・消費型社会が、わずか数十年の間にそのような竹の文化的記憶を喪失させたのも事実です。しかしながら私たちのDNAのアーカイヴには、自然と人の関係を再構築する知恵が刻まれているはずです。それを世界に提示することが今日のデザイナーに求められる役割ではないでしょうか。いくら竹の自然素材としての有効性を唱え、地球環境の保全を訴えても、説得力のある「かたち」が提示されない限り、爆走する経済社会では誰も立ち止まり実感をもって受けとめてくれません。未来が差し出してくれた生き延びるための希有の贈り物である竹。いずれ化石燃料が枯渇する時のために、いま「生きたカーボンファイバー」の基礎デザイン研究に着手しなければなりません。

8m Geodesic Bamboo Dome
「ジオデシック竹ドーム」

武蔵野美術大学 2008年
燻煙熱処理した丸竹による直径8m、高さ4m、320面体の1/2球
ジョイント部材共同開発:大隆精機(株)

「ジオデシック竹ドーム」設営風景

Your private sky
Fullerは三角形に分割された空をYour private skyと呼んだ

Synergetics Poster
「シナジェティクス・ポスター」

バンドゥン工科大学(インドネシア)2009年
FullerのSynergeticsにおける面分割(frequency)を概説したポスター

4m Tensegrity Bamboo Dome
「テンセグリティ竹ドーム」

バンドゥン工科大学(インドネシア)2009年
燻煙熱処理した平板による直径4m、高さ2m、準320面体の1/2球