志田陽子教授の授業が朝日新聞で紹介されました

志田陽子教授(教養文化・学芸員課程)の授業が、朝日新聞で紹介されました(2023年4月26日掲載)。

「(憲法をどう教えるか:上)視覚や聴覚に訴え、憲法イメージ」朝日新聞 2023年4月26日(紙版およびデジタル版に掲載)
*上記紙面の大学サイトへの掲載は、新聞社の許諾を得ています

(志田教授より)
本学では、美術系教員になりたい人のための法学教育、芸術・文化系の仕事に就きたい人のための法学教育が求められています。「これをやったら違法行為になるからダメです」というタイプの狭いコンプライアンス教育だけでなく(それももちろん行います)、もっと本質的なところで、憲法その他の法律が表現活動や文化芸術を支えていることを知ってもらい、社会に向けて足腰の強い活動を行える表現者・芸術文化活動者になってほしいと願っています。
憲法についても、そうしたコンセプトをもって教育活動を行ってきましたが、その取り組み内容について、朝日新聞社が授業聴講取材に基づいて、紹介記事を掲載してくれました。
ムサビでの法学教育が、多様な場面での若手教育や市民教育の参考にしてもらえることを願っています。

(記事より)*新聞社の許諾を得て志田教授の談話部分を抜粋しています。
「憲法」と聞くだけでどこか近寄りがたく、難しいと感じる人もいるのではないか。そもそも憲法とは何を目的とする法なのだろう。憲法をどのように教えたらよいのか、課題はどこにあるのか。教育現場での取り組みのいったんを(上)(下)で報告する。

■川と堤防に例えて動画に
武蔵野美術大学で10日、志田陽子教授(憲法)が担当する新年度初回の授業「日本国憲法A&B」がオンラインであり、学生約100人が参加した。配られたレジュメに志田教授が作った4分余りの動画のリンクが貼られている。
音楽をバックに、「憲法とは、国家を暴走しないように、枠づけるもの。国家がこの『枠』を守って働くことが立憲主義」と文字が映し出される。続いて川が流れる写真とともに、「国家と憲法は、氾濫(はんらん)するおそれのある川と、護岸工事をした岸の堤防のような関係です」。憲法が国家を名宛て人とした規範で、立憲主義の本質が権力を縛るものということが、川=国家、堤防=憲法のたとえで親しみやすく説明される。
編著「映画で学ぶ憲法」などのある志田氏は、視覚や聴覚に訴える授業を重視してきた。「想像力をかき立てることで、遠い存在と思われてきた憲法のイメージを身近に感じてもらいたい」と話す。
10日の授業のテーマは、「日本国憲法の成立と『国民主権』」。日本国憲法を制定して国民主権への転換を図ろうとするGHQ(連合国軍総司令部)と、天皇主権(国体)を守りたい日本の政治指導層との緊張関係に焦点があてられた。「私たちが手にする国民主権は、生みの苦しみを経て生まれたという歴史を知ってもらうことで、その大切さを深いところで受け止めてもらいたかった」と志田氏。
固定した飾りのようなものではなく“使いこなすもの”として憲法を捉えてもらえないか。そのために自転車に乗った人のイラストを使い、「民主主義はサイクル(回転運動)だ」と例えている。
代表者が作った法律やその執行、裁判で国民は影響を受ける。結果に満足する人もいれば、反対したいと感じる人もいる。そのときはまた国政へ働きかけることになる。「民主主義は終わりのない軌道修正の循環(サイクル)で、サイクルを支える権利として参政権があることを学んで欲しい」と志田氏は語る。


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