色彩論I 1年次

堀内麻由『太陽の残像』(上)、網野萌夏『太陽の残像』(下)

色彩にとって光は本質的なものです。その光=色彩が見える様相は多様で、ストロボの光、太陽、虹、朝焼けの雲や空、暗い行灯などさまざまです。また、色は人間の外側の世界にあるのと同時に、人間の内側にもあります。ある色の刺激を見て、その刺激を取り去ったあとに色が(心に)見える現象が残像です。この課題は、太陽の残像の観察に基づいて太陽を再構成し、色の有する性質を体験的に理解します。

形態論I 1年次

村瀬真以『sensitive clock「ツー、どぅっとわわん」』

この演習では、考えることとつくることとの関係および図像や形態を形成するための、プロセスや方法の研究を目的としています。一方で単純な原理から次第に複雑に展開・発展する課題と、もう一方では複雑な内容から次第に文脈を読み取り、事物の関係を明らかにします。最終的に、日常生活の中の「ある特別な時間」を切り取り、「sensitive clock~感覚時計」として表現します。

形態論Ⅱ 2年次

阿久津裕亮『朝のうつわ「TOF(U)LOWER VASE」』

木下真奈江『朝のかたち「厚みの奥行き」』

思想家、詩人のゲーテによる自然観、形態学(モルフォロギー)に基づく基礎的な形態研究のための演習です。形態という概念がはらむ広大な造形領域を探り、形態学的アプローチを学びながらデザイン・テーマを発見していきます。具体的には「朝のかたち」「朝のうつわ」といったテーマを設け、日頃慣れ親しんだ身の回りのかたちを見つめ直し、そこに含まれる必然性や普遍性、そして環境との関係を探り当てていきます。

表示方法論Ⅲ 2年次

菊地なつき『椅子のスケールモデル⅙』

暮らしの中で関わってきた日用品を題材に、スケッチやモデル制作を通じて、かたちの成り立ちを理解する演習です。立体を二次元で表現すること、またそれを伝達するための方法や知識、基本的な技術を習得します。使う立場では見えなかった立体物の構成を正確に理解することで、つくるための立体把握力を養います。

デザイン演習Ⅰg(プロダクト環境)3年次

重田奈々帆『ランチ「LUNCH DRINK」』

発想から思考、展開というデザインプロセスを通じ、イメージを具体化する演習です。モノとの関わりの中で身につけた体験や気付きを、「使う」という受動的なものから「つくる」という能動的な視点へ転化させます。モノを現実に対応させるために、「寸法」という概念を身につける訓練でもあります。

デザイン演習Ⅰm(ヴィジュアルコミュニケーション)3年次

川上愛・川口陽生・佐々木真葉・篠塚梓・髙橋若那『FOOD STORE「一山市場」』

ヴィジュアルコミュニケーションの演習は、3年次にはよりコンセプチュアルな次元でデザインを展開するステージに移行します。表現したい内容を的確に可視化する力と、人の記憶に印象を刻印するコミュニケーションについて、二つの課題を通して理解します。特に後半の課題は、架空の施設(FOOD STORE)を緻密に構想することで、視覚記号の運用によるアイデンティフィケーションの生成を把握する実践的な演習です。

卒業制作 4年次

上原愛美『書影』

和紙、シルクスクリーン|H2000 × W930mm

一篇の小説のテキスト全文を再構成したシルクスクリーンによる版画作品。芥川龍之介や太宰治、ドストエフスキー、カフカなど、よく知られた純文学のテキストが作品の題材として扱われています。文字が本という形式、頁という枠組みから解き放たれ、1枚の平面空間において重層し、また滲んだり霞んだりして、ノイズのような画素として定着した。全体として抽象絵画のような気配の、初めて出会う造形作品として生まれ変わっています。

江田陽子『モノの刺身』

M画用紙、アクリル絵具、コピック、エアーブラシ|H523 × W678mm

モノのリアリティを新鮮に感じさせる手法として「刺身」というメタファーを用いた作品です。プロダクツをスライスして刺身の「平盛り」の様相で左から右へと並べていく。この規則を、歯磨きチューブ、マッチ箱、防災頭巾、蚊取り線香のパッケージなど、見慣れたものに適用しています。眺めていると、巧みな絵画表現に引き込まれるだけでなく、最後にはこれらのプロダクツを「おいしそう」と感じてしまう。傑作のヴィジュアル・レトリックです。

川﨑萌子『Dialogue of Parts』

時計内部品、虫ピン|H400 × W4800 × D230mm

精密につくられたモノは、大きさ以上の重量を持つことに気付かされます。実際の重さではなく、かたちの力が中心に向かって凝縮した存在の重さです。そして時計の部品は、そのかたちに時を刻む動きが内包されているからか、生き物のように個体の個性を放ちます。今にも動き出しそうなかたちたちが1本の線の上に整列している様子は、そこに時を切り取ったような静寂を生み出しました。時計の内側に秘められた精緻な美しさを開いた作品です。