デジタルドラマⅠ 2年次開講
『ぴゅあーじゅ☆』
実写ドラマ|22分5秒
ひとつひとつの小道具やBGMからも、世界観を深められることを実感した
映画制作に関わるスタッフワークを学生が担当し、約2ヵ月かけて短編の実写ドラマを制作する映像学科の名物授業で、私は脚本、美術、音楽を担当しました。風俗業界で働く女性を主人公に、女性の価値が判断される残酷さや純粋な善意が持つ暴力性、異なる性格の同性同士の関わり合いの中で一瞬だけ芽生える友情や愛情のようなものの美しさを描きたいと思いました。
脚本を書くのは初めてで、グループ内で議論しながらブラッシュアップを繰り返す毎日は想像以上に大変でしたが、人物造形という意味では自主制作しているマンガとの共通点に気付けましたし、美術や音楽の担当として本棚に並べるマンガや冷蔵庫の中身、BGMのひとつひとつが作品の世界観を深めるためにどれだけ重要であるかを実感をもって理解できました。意見をぶつけ合ってもめることもありましたが、実写映画の監督にも興味が出てきています。今後も人々の生きづらさに寄り添えるような物語を創作してきたいです。
(2年|後藤彩友さん)
写真Ⅱ 3年次開講
『Asama』
写真|マット紙、インクジェットプリント|H210 × W297mm
進級制作展や卒制を視野に、街との距離感を計ることを意識した
ポートレイト撮影や物撮り、プリント方法について、商業写真の世界で活躍する先生から実践形式で学ぶ授業の最後に取り組んだ自由課題です。進級制作展に向けた習作として千葉市の埋立地を撮影しました。卒業制作まで同じ場所を撮り続けたいと考えているので、今回はあえて土地のリサーチをせず、カメラを介した街との距離感を計ることを意識しました。そのため踏み込み方には迷いましたが、講評では私の写真特有の距離感を指摘していただき、「写真の枚数をとにかく重ねること」というアドバイスももらいました。
さまざまな映像表現を学んだうえで専門を決められるところに魅力を感じて映像学科に進学し、肉眼で見ているものとはまったく違うものが立ち現れてくる写真の面白さや、カメラを持って歩く行為そのものにも惹かれて写真を専攻しました。作品の独自性を獲得していくために、ほかの表現手法にも挑戦しながら、その経験を写真に還元していけたらと思っています。
(3年|砂田紗彩さん)
映像表現実習 3年次開講
*2020年度時点の科目名。現在は映像・写真表現実習Ⅰに名称変更
『frame』
インスタレーション|プロジェクター、スチレンボード|H1500 × W2000mm
初めての本格的な展示設営も研究室のサポートでかたちにできた
専門課程に入るとそれぞれの専門に分かれますが、メディアアートを専攻する学生はプログラミングやデバイスの電子工作、サウンドエディティングなどに関するスキルをワークショップ形式で学びながら、インスタレーションやパフォーマンスに取り組んでいきます。私はジョン・ケージの「4分33秒」から着想を得たテーマで作品を制作していて、これは進級制作展に出展したインスタレーションです。枠組みやフレーム性を設けることで“常に流れている時間”を鑑賞者に認識してもらうことを目的に、壁面に設置したパネル上に鑑賞者の姿がリアルタイムで投影されるシステムをMaxというプログラミング環境で構築しました。
進級制作展は学生が主体となって展覧会の企画や設営を行います。私も会場のレイアウトや動線を考える係を担当しましたが、自分の作品の設営すらままならず、研究室のスタッフさんのサポートが助けになりました。制作に関する悩みがあれば気軽に相談できる環境が整えられているのも、映像学科の魅力だと思います。
(4年|市堰楓子さん)
CG&アニメーションⅠ 3年次開講
『ひと息』
2Dアニメーション|3分
制作プロセスにCGを取り入れ手描きアニメの可能性を追求する
1日の終わり、疲れ切って夜道を歩いている時に道端でたたずむ自動販売機の光につい引き寄せられてしまうことはないでしょうか。これは人生に疲れてしまった人や頑張っている人を自販機に連れ込んで、少しのあいだ息抜きしてもらう世界を描いた手描きアニメーションで、3年次の進級制作展に出展した作品です。
映像学科には手描きアニメーションを専門的に学べるゼミがありますが、制作プロセスにCGを取り入れることでカメラワークやキャラクターの動き、陰影の付け方に広がりを持たせられるように、私はあえてCGを専門とするゼミを選択しました。専門外の分野からいろんな影響を受ける必要性を日頃から感じているので、作品とは一見関係なくても自分の視野を広げられるような参考文献を先生から逐一教えてもらえたことは、行き詰まっていたシナリオづくりを打開するヒントになったと思います。これからもアニメーションという表現の可能性と向き合って制作を続けていきたいです。
(4年|多田あかりさん)