プランニング入門・実践 1年次開講
『うどん巡り旅』企画書
現役の専門家から助言を受けながら企画づくりの思考法や視点を学ぶ
2年次から本格的に始まるマネジメントの授業の土台となる、プランニング(企画)のための基礎知識や企画書の作成方法を学びます。前期の「入門」では、講義やワークショップを通してロジカルシンキングやブレインストーミングの方法、マーケティングの基礎知識を学び、旅行計画を立てる課題で企画書作成やプレゼンテーションに取り組みました。私が考えた企画は香川県のうどん巡り。外国人にはあまり知られていない地域を留学生の友人と訪問する、「食」に重点を置いた旅の計画です。
後期の実践編ではさまざまな調査分析方法や広報、ブランディングについて学びながら、大規模施設の企画に取り組み、私はスペイン・ビルバオのグッゲンハイム美術館のように地域の象徴となるような現代美術館の建設とビエンナーレの実施計画を提案しました。地域のニーズや実行可能性を考慮しながら具体的な事業計画、資金計画を練る必要があり、ゲスト講師の現役のプランニングディレクターや広告プランナーの事例紹介やアドバイスがとても参考になりました。韓国の美大でファインアートを学んでいた頃は自分の作品の世界に没頭していましたが、これまでにない思考法や視点が求められる難しさと面白さを日々感じています。
(1年|ユン ソンジュンさん)
マネジメント入門・実践 2年次開講
マネジメント入門のプレゼンテーションの様子
マネジメント実践で作成した工程表
マネジメントの学びはキャリア形成の基盤にもなる
文化施設や芸術文化事業、アーツプロジェクトなどのマネジメント(経営)に必要な基礎知識やノウハウを「入門」「実践」に分けて段階的に学びます。入門編では各学生が文化施設と企業を1つずつ自由に選び、SWOT分析を用いて施設や企業を取り巻く状況を分析し、それぞれの強みや弱み、競合の存在や世の中の動向を踏まえた経営戦略を検討しました。初めて知る専門用語や分析手法を用いながら経営側の視点に立ってみると、新しい言語を覚えていくように今まで見えていなかった世界が立ち現れてくる感覚がありました。担当教員や特別講師の先生方によって経験や着眼点の持ち方が異なるので、マネジメントにも個性が出ると感じたことも印象に残っています。
今取り組んでいる実践編では、SDGsの目標達成に向けたプロジェクトをムサビで行うための計画書を作成しています。ムサビやステークホルダーの分析、工程表やリスク管理、収支計画の作成など、プロジェクトマネジメントに関わるノウハウを具体的に学ぶ課題で、入門編に比べて検討するべき項目も多いです。ただ、こうした学びは私自身が自分の将来を考えるうえで、今の自分が置かれている状況やこれからするべきことをより明確にできる、あらゆることの基盤になるものだと感じています。
(2年|保坂天音さん)
アーツプロジェクト(卒展裏方プロジェクト)1〜3年次開講
2020年度の卒業制作・修了制作展で実施した「芸文卒展ツアー」の実施風景
デジタルデザイン基礎での学びを生かして制作したDM
アートマネジメントの実践から社会人に必要なスキルまで学べた
「卒展裏方プロジェクト」とはアートマネジメントを実践的に学ぶアーツプロジェクトの1つで、卒業研究・制作展と大学院修了展の「広報」「教育普及」「記録」「制作」を1~3年生の有志で取り組みます。メンバーは制作記録班と広報教育普及班に分かれ、SNSによる情報発信やDMの制作・発送、優秀賞受賞者へのインタビューや卒展全体の記録動画の制作、対面・オンラインの鑑賞ツアー(芸文卒展ツアー)の企画運営などを担当しました。
班に分かれるとはいえお互いをサポートし合い、私も鑑賞ツアーの企画運営を主に担当しながらDM制作を率先して行いました。来場者に展示をより一層楽しんでもらうことを意識して、ツアーは3種類のコースを用意。予約フォームづくりや制作者とのアポイントメントの調整、当日のガイドに向けたリハーサルも繰り返して本番を迎えました。
今回のプロジェクトでアートマネジメントを実践できたのはもちろん、4年生や大学院生、ツアー参加者の方々とのメールのやり取りや現場でのコミュニケーション、臨機応変な対応など社会人に必要なスキルも学べたし、自分自身に足りないことにも気付けたと思います。今後もアイデアやデザインの質をさらに磨き、さまざまなグループワークに貢献していきたいと思います。
(3年|梨本奈那さん)
ミュゼオロジー実習 4年次開講
武蔵野美術大学美術館・図書館が保管する彫刻資料のコンディションチェック調書と調査対象
作品の梱包について学ぶ実習の様子
学芸員として4年間の経験をどう生かし、応用できるか
学芸員資格取得に向けた最終段階として、博物館資料の収集、保管、展示、整理、調査研究、教育普及などの学芸員の業務と博物館運営の実態を、現場で体験する授業です。3年次後期に、多摩六都科学館、葛西臨海公園、庭園美術館、国立科学博物館附属自然教育園の学芸員の方々からお話を伺う「見学実習」を行ったうえで、4年次前期から夏休みにかけて、芸文と武蔵野美術大学美術館が共同開発した「実務実習」と「館園実習」に臨みます。
見学実習ではさまざまな分野の博物館の運営方針や課題を実体験として目の当たりにしました。鷹の台キャンパスの美術館を利用した実習では、展示資料のキャプションや広報ツールの作成、作品の保存・修復、梱包方法など実務に必要な内容も集中的に学び、今後、この経験を学芸員としてどう生かし、応用できるかと考え続けることができた1年間でした。
卒業後はギャラリーで経験を積みながら、人類の文明を象徴する展示資料を“発信する側”として、資料をより長く維持し、魅力的な提示方法で鑑賞者の心を動かせるような仕事を手がけていきたいと思っています。そして日本の成熟した学芸員の教育方法や博物館の運営方法を、故郷の台湾でも実践していきたいと思います。
(4年|チェン ウィトンさん)