「ムサビ生の学びを止めない」ために
新入生、在学生、ご家族の皆さまへ
2020年5月4日
武蔵野美術大学
学長 長澤忠徳
緊急事態宣言の期限が、5月31日まで延長され、また東京都の緊急事態措置により、本学も入構禁止措置を継続せざるを得ない状況となりました。新入生のみなさんとは、まだ顔を合わすことさえできていません。
長引く外出自粛要請によって、日常生活はもちろん、制作活動もままならない状態が続いており、みなさんも将来に対して大きな不安を抱いておられることと思います。
こうしたなか、私がなにより恐れているのは、このコロナ禍による経済的影響により、道半ばにして学修を断念せざるえない学生が生まれてくることです。みなさんが、このコロナ禍によって一人として欠けたりすることのないよう、「ムサビ生の学びを止めない」ために、大学としてできる限りの支援を行うことが、私に課せられた最大の責務だと考えています。
本学では「コロナ禍により学びを断念する学生を出さない」ことを第一に、可能なかぎりの学修時間を保障することを前提に、個別的、重点的、中長期的に学生のみなさんを支えていく支援策を検討してきました。様々な大学で、様々な学生支援策がとられていますが、この困難な状況が長期間に及ぶことを考えると、本学では学生のみなさんの実情に合わせ、しっかり寄り添った支援をするために、可能な限り「持続性のある学生支援」を財政的にもできるよう独自の学生支援を講じます。今年度の授業開始にあたり、今回お知らせするのは、緊急事態措置に伴う新たな学事予定と緊急対応の第一弾の支援策です。
本学が永年培って来た世界水準の造形教育の質を維持し、学生のみなさんが、大学生活を全うできるように、私たち教職員も一丸となってしっかり支えます。この余儀なくされた経験で、世界は変わろうとしています。この惨事の後に出現するであろう「New Normal」ともいうべき未来社会を、学生のみなさんが、本学教育で育んだ「創造的思考力」で貢献し実現していくことを、私は確信しています。
以下、通学課程に在籍する学生のみなさんへの支援について、検討結果をご報告いたします。
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1.学事スケジュール全体の見直し
美術大学においては、実技演習や実習など、アトリエや工房などでの造形制作が教育の特質です。在学生のみなさん、とりわけ、卒業年度、修了年度の学生のみなさんの制作環境と時間をしっかり確保することを実現するため、年度内の日程をフルに活用して、学事日程のさらなる組み替えを行ないました。
前期に予定されていたアトリエ・工房での実技制作を必須とする授業については、開設時期を7月末以降に変更し、夏期及び春期休業期間、また芸術祭に予定されていた期間に加えて年末年始の期間にも授業時間を設けます。
当初の学事予定において計画されていた授業時間数はもちろんのこと、対面授業の時間を考えられる限り確保した学事日程とします。
既に発表されていた学事予定との比較については以下のPDFをご参照ください。 2020年度学事予定(Ver.0504 修正版)
2.経済的困窮増大に対する学修支援
1)緊急学修支援金(30万円、長期貸与型)
家計急変による仕送りの停止や、アルバイト等の収入が急に無くなり、家賃の支払や生活費等が困窮し、学修の継続に急に支障が出た場合に、まとまった金額(30万円)を迅速に無利子で貸与する通学在籍学生を対象とした緊急対応の支援金制度です。この支援金は、返済期限を卒業後(あるいは修了後)原則5年以内に設定した長期貸与制度です。「緊急対応給付型奨学金」や「緊急貸付金」との併用や、他の公的な奨学金の受給までのつなぎ資金として活用できます。
*この制度については5月11日から利用可能の予定です。利用希望の方は以下のリンク先をご確認ください。
NEWS 「武蔵野美術大学 緊急学修支援金(長期貸与型・無利子)」 の実施について(5/9更新)
2)緊急貸付金(5万円 or 10万円、選択制短期貸与)
アルバイト等の収入が見込めず生活費、情報環境整備等の修学費用負担で、一時的に経済的に困窮する学生のみなさんに、選択可能な金額(5万円 or 10万円)を無利子で迅速に短期貸与する制度です。
この緊急貸付金は、在籍年度内の返済となりますが、返済完了後は同じ年度内であれば、何度でも借りることが可能です。公的な緊急支援金制度による受給までのつなぎとしての活用も、また、本学独自の「緊急学修支援金」、「緊急対応給付型奨学金」と合わせた活用も可能です。
*この制度については5月11日から利用可能の予定です。利用希望の方は以下のリンク先をご確認ください。
NEWS 「武蔵野美術大学 緊急貸付金(5万円 or 10万円、選択制短期貸与)」 の実施について(5/9更新)
3)緊急対応給付型奨学金(30万円、給付型)
新型コロナウイルス感染拡大防止のため緊急事態措置が継続され、社会経済が極度に停滞し、今後さらなる家計急変が生じる世帯の増大が見込まれます。そのために修学継続が困難になっている通学在籍学生を対象に、この窮状を救うための「緊急対応給付型奨学金(一件30万円給付)」の新設を決定しました。現在、従来の奨学金とは異なる迅速で柔軟な対応を行なうための制度設計を急いでいます。 NEWS 「武蔵野美術大学緊急対応給付型奨学金」の実施について(5/28更新)
4)学費延納・分納の納付期限再延長
家計が急変した場合など、期限内での授業料納入が困難な場合には、延納・分納での納入が可能です。緊急措置として、延納の最終振込期限を、前期分は現在の7月20日から8月31日までに、後期分は現在の12月21日から1月31日までに、さらに延長します。なお、既に延納を申請されている場合の振込期限は、自動的に今回再延長した期限とします。
*詳細は、大学webサイトで確認してください。
5)教育ローンの利息負担
現在在籍中の学生が金融機関等の教育ローンを活用している場合、申し込み時点から卒業(あるいは修了)するまでの期間について、利息を大学が負担します。希望者全員を対象としますが、ローンの種類によって融資条件が異なりますので、詳細を確認し、ご相談ください。
*詳細が決まり次第、大学Webサイトで案内します。
6)既存奨学金制度等の活用
今回の緊急事態措置による経済的な学生支援については、本学独自のもの以外にも公的な緊急対応の給付型や貸与型など様々な奨学金があります。本学は今年度から始まった大学無償化制度の対象校でもあり、今回の緊急事態措置によって、新型コロナ感染症による家計の急変による修学継続が困難になったことも採用条件に加えられました。これらの支援制度は支給・貸与条件等の制約がありますので、それぞれの経済状況に応じて、適したものを活用していただきたいと思います。
詳細は以下よりご確認ください。
NEWS 新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けて家計が急変した方への支援について
3.学修支援サービス
1)オンライン授業の受講支援(Wi-Fiルーター、iPadの無料貸出)
オンラインによる講義や演習を、5月18日(オンラインでのオリエンテーションは5月11日)から始めますが、大方の学生のみなさんは、すでにオンライン授業に対応する情報環境が一定程度整備されていることがアンケート等により把握できました。オンライン授業の環境整備にご協力をいただき感謝申し上げます。
それをふまえて、全ての学生のみなさんが一斉にオンライン授業を履修できるようにするため、オンライン接続環境の整備に、特に困窮する学生のみなさんを対象とした支援措置として、Wi-Fiルーター(月間無制限、2GB/day)を無料で貸し出します。Wi-Fiルーター貸し出しについてはすでに対応を開始しています。
また今後iPad(10.2インチWi-Fi 32GB、スペースグレイ)の貸し出し対応も予定しています。Wi-Fiルーターの貸し出し対応についての詳細は以下よりご確認ください。
NEWS オンライン授業に伴う学生向けモバイルWifiルーターの無料貸し出しについて
NEWS オンライン授業に伴う学生向けモバイルWifiルーターの無料貸し出しについて[第2弾]
NEWS オンライン授業に伴う学生向けモバイルWifiルーターの無料貸し出しについて[第3弾]
NEWS オンライン授業に伴う学生向けモバイルWifiルーターの無料貸し出しについて[第4弾]
NEWS オンライン授業に伴う学生向けモバイルWifiルーターの無料貸し出しについて[第5弾]
NEWS オンライン授業に伴う学生向けiPadの無料貸し出しについて
NEWS オンライン授業に伴う学生向けiPadの無料貸し出しについて[第2弾]
NEWS オンライン授業に伴う学生向けiPadの無料貸し出しについて[第3弾]
NEWS オンライン授業に伴う学生向けiPadの無料貸し出しについて[第4弾]
NEWS オンライン授業に伴う学生向けiPadの無料貸し出しについて[第5弾]
NEWS オンライン授業に伴う学生向けiPad及びモバイルWifiルーターの無料貸し出し期間延長[2021年1月16日まで延長]について
NEWS オンライン授業に伴う学生向けiPadの無料貸し出しについて[第6弾]
NEWS オンライン授業に伴う学生向けiPadの無料貸し出しについて[第7弾]
2)教科書等のオンライン販売
受講に必要な指定教科書等については、世界堂武蔵野美術大学店の全面協力のもと、オンライン販売にて学生のみなさんにお届けします。なお、配送料や代金引換手数料についてはすべて大学と世界堂武蔵野美術大学店にて負担します。詳細は以下よりご確認ください。 NEWS 世界堂による教科書・用品販売について
3)郵送等による図書・映像資料の貸出サービス
入構禁止により図書館・イメージライブラリーが利用できない状況に対して、図書・映像資料貸出の郵送サービスを開始します。発送できる資料は、大きさ・厚さ・数によって限度があり、配送に多少の時間がかかります。詳細は以下よりご確認ください。 NEWS 図書資料の郵送貸出について(5/12更新) NEWS 映像資料の郵送貸出について(5/12更新)
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以上、武蔵野美術大学のコロナ禍に対する具体的な緊急学修支援について説明してきました。繰り返し述べてきましたように、コロナ禍の影響がいつまで続くかは誰も見通せませんし、情勢は日々刻々変化しています。学事予定も支援策も、今後の状況次第では、再度大きな変更を余儀なくされることがあるかもしれません。
支援策の詳細については細部が決まり次第お知らせします。また、変更が生じた場合にもできるかぎり早くお伝えしますので、定期的に本学Webサイトをチェックしていただくようお願いいたします。