長谷川敦士

長谷川敦士(はせがわ・あつし)
HASEGAWA Atsushi

専門
インフォメーションアーキテクチャ、サービスデザイン
Information Architecture, Service Design
所属
クリエイティブイノベーション学科
Creative Innovation
職位
教授
Professor
略歴
2019年4月着任
1973年山形県生まれ
東京大学大学 院総合文化研究科 広域科学専攻広域システム科学系 博士課程修了(学術博士)
研究テーマ
理解のデザインを軸に、意味のイノベーションの探索と、社会システムとデザインの研究を行っている。

素粒子物理学(理学修士)、認知科学(学術博士)を経て、2000年より理解のデザイナ インフォメーションアーキテクトとして活動を始める。
'02年株式会社コンセント設立、企業ウェブサイトやウェブサービスなどのUXデザインを手がけながら、インフォメーションアーキテクチャ分野の研究を進める。
'00年代中頃より、UXデザイン分野のNPO 人間中心設計推進機構の理事に就任、UX/HCDの啓蒙普及活動を行う。
'10年頃より、サービスデザイン分野の活動を開始、企業の事業開発におけるデザイン活用の推進やデザイン組織への変革支援を行う。同時にコミュニティ活動として、グローバル組織のService Design Networkの日本支部を立ち上げ、カンファレンスなどの啓蒙活動や翻訳活動などを行っている。
著書に『IA100―ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計』、監訳書に『THIS IS SERVICE DESIGN THINKING』など多数。

Dr. Atsushi Hasegawa is Professor of Institute of Innovation. He received his PhD from The University of Tokyo. He has master’s degree in Physics from Tohoku University.
He began his career as an Information Architect in 2000. He founded a design firm Concent in 2002, he has produced UX and service design projects for such as Mitsubishi Electric, Sony, Toyota, and Ricoh.
His themes are: Information Architecture, Service Design in Japan, and Design Transformation. Through practice, research, and education he is cultivating the design.
He is a Vice President of Human Centered Design Organization Japan (HCD-Net), Japan Chapter Representative of Service Design Network (SDN).


研究アプローチ

「理解のデザイン」を中心にして、デザインの社会活用、デザインアプローチの可能性探索、デザインを通じた社会システムの構築、を研究している。
認知科学的な人間の認識過程および意味構築のプロセスの活用と、メディア・コンテンツの構築の両側面からのコミュニケーションデザインを実践してきている。企業やトピックなどをよりよく理解するために、インフォメーションアーキテクチャアプローチを定義し、実際にビジネス活用を行いながら探索を続けている。企業や組織のコミュニケーション支援やコンテンツ開発などを通じながら体系化した方法論を『IA100―ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計』として出版した(BNN新社、2009年)。

最近では、サントリーにおいて企業理念と事業内容とを統合した企業コミュニケーションを実現するために、共創的なプロセスによって企業サイトのリニューアルを行ったり、三菱電機において全世界で統一された体験を提供するためのグローバルで統合されたウェブサイトの設計を行ったりといったプロジェクトをプロデュースした。また、意味構築のアプローチをビジネス活用することにより、デザインを活用したビジネス開発=サービスデザインの方法論の開発に取り組んでいる。様々な企業のサービスデザイン支援やサービスデザインを実現する組織作り支援を行いながら、ここ数年では継続的な社会システムを実現するサービスデザインアプローチを探求している。
さらには、企業運営にデザイン視点が求められるようになってきたことを受け、日本企業や行政でのデザイン教育やデザイン文化の育成についても研究と実践を行っている。
今後の研究テーマとしては、これまでのもの対象のデザイン、人の行為対象のデザインの次の段階として、動的システムとしての社会をどのようにデザインしていくかについてを探索している。具体的には、デザインされた後の変化を考慮したデザイン、相互に影響し合うシステムとしてのデザイン(量子力学的デザイン観)をテーマとして研究を行っている。

教育のアプローチ

デザイン教育としては、インフォメーションアーキテクチャ教育、デザインリーダーシップ教育、サービスデザイン教育を中心として、新しいデザイン教育自体を探索している。
わかりやすさのデザインである「インフォメーションアーキテクチャ」とその実践者である「インフォメーションアーキテクト」は、もともと編集者であり、TEDカンファレンスの創設者としても知られているリチャード・ソウル・ワーマン氏によって提唱された(Richard Saul Wurman, Information Architects, Watson Guptill Publication, 1996.)

インフォメーションアーキテクト

  1. データに潜む隠れたパターンを整理し、複雑さを明快にする人
  2. ユーザーが自分の知識を獲得するための道筋を見つけられるような、構造や地図を作る人
  3. 明快さ、理解、情報の整理に特化した、時代の要求によって生まれた21世紀の職業

このインフォメーションアーキテクトの概念に基づき、認知心理学などの人間の理解のしくみの理解と、コンテンツ編集やさまざまなメディア表現、テクノロジー活用を行いながら理解のデザインの実践者の育成を行う。
具体的にはメディアにおけるアーキテクチャデザインによる可能性の探索、相互作用を引き出すようなインタラクションデザインの研究を行う。
また、大学院教育としては、デザインリーダーシップ教育として、デザインの実践者でありながら、デザインのアプローチや考え方を社会により実現していくためにデザイン自体の探求を同時に行っていくような人材の育成を行う。ここ数年で重点的に取り扱う予定のテーマとしては、意味のイノベーションの理論構築、相互作用する社会システムにおけるデザインモデルの構築、感性的価値のパターンランゲージを通じた理解、そしてデザイン概念の教育などを取り扱っていく予定である。