エレン・マクギブン

プラット・インスティテュート 油絵専攻2年受入:日本画学科2010年9月~2011年1月

エレン・マクギブン

日本で日本画を学ぶ、というこのチャンスは、私の美術修得にとって貴重な経験になっています。

日本画や版画を制作することで、水彩絵の具や顔料の繊細さの扱い方を楽しみながら学ぶことができました。これらの繊細な絵の具は、紙とお互いに影響しあっているように見え、油絵の具が紙やキャンバス上で荒々しく塗られたり、色を重ねられたりと、操られているのと対照的に思えます。また、理論や思考しながらではなく、直感的であること、そして色合いの濃淡やラインを感じることも学んでいます。

何よりも、私は空間、もしくは油絵で言われるところの“ネガティブスペース”の大切さを理解できたと思います。日本においては、その言葉そのもの、そして意味するものは幅広く、私の作品への取り組みだけでなく、私の人生へも道筋をあたえてくれたようです。

私を暖かく迎え入れてくれた皆さんに感謝の気持ちを伝えたいです。そして、この美しい国にまた戻ってくることを願っています。

アドリアン・ジャンティ

パリ国立高等美術学校
絵画/インスタレーション専攻3年
受入:油絵学科2010年9月~2011年1月

アドリアン・ジャンティ

Yokai, 渋谷にて。
異邦人としての目線で、日本の日常生活に潜む幻像などを追い詰めている肖像

ムサビは近代的で美しい大学です。快適な生活を送るのに最適であり、制作活動をしやすい環境にあります。僕の出身校と比べてみると、ムサビには必要な時に必要なものが買える画材屋、食事の場所、友達と会える場所があります。こういった要素は生活に必要不可欠で便利だし、また、友達と結び付けてくれます。

僕にとってすごく新鮮だったのは、巨大で魅力的だけど、賑やかで人でごった返す都心から離れて、静かな生活を送ったことでした。文化的な意味でも、祖母が日本人という事情からも、この日本という独特の雰囲気の中で生活し、この国を知るということは、僕にはとても大事なことでした。そのため、僕の作品の多くは、日々の生活、住んだ場所、身の回りのものの美しさ、または僕にとって未知であるものについてとなりました。

ところで、そういった「喪失という感覚」以外の点では、フランス人の僕は、ホームシックを感じることはありませんでした。というのも、テレビ番組からお店の看板にいたるまで様々な場所に、フランス的な何かを感じることがよくあったからです。僕が思うに、この日本とフランスにおける互いへの賛美というものは共通のものでした。

そして何よりも、ここで出会った友人は皆優しく、また、指導教員の赤塚祐二先生(油絵学科教授)はいつも、僕の希望や疑問について、気をかけてくれていました。

ただ、ひとつ残念に感じたのは、他学科のクラスを履修できなかったことです。でも、これは学校によってシステムが違うためであり、仕方のないことだと理解しています。

エイマン・レザイ

ベルリン芸術大学 彫刻専攻4年受入:油絵学科2010年9月~2011年1月

この協定留学に関すること、すべてに感謝しています。

東京には長くは滞在していませんが、それでも、僕は日本という国と恋に落ちたように思います。ムサビで制作をすることは楽しく、おかげで多くの作品を生み出すことができました。ここは創造にふさわしい場所だと思います。もっと長くムサビに滞在して、制作に取り組みたかったと思っています。僕は今までテヘラン、ロンドン、そしてベルリンにいましたが、ムサビが一番でした。

他の学科で学ぶことができなかったのは残念でしたが、それでもムサビは想像をかきたてる場所であり、僕に忘れられない経験をさせてくれました。

日本語はあまり話せるようにはなりませんでしたが、日本人の精神というものは知ることができたと思っています。新しい友達ができ、日本的なものを発見したり、自然や食べ物を楽しみました。唯一残念だったのは、ふぐを食べる機会がなかったことで、これはもう僕にとっての悲劇とも言えるかもしれません。

この協定留学での滞在で、僕は2年毎に日本に戻ってこようと思うようになりました。京都に行けなかったことを始めに、日本という国を知る機会が僕にはほとんどなかったように思うからです。また、ベルリンに戻っても柔道の練習を続けるつもりです。

最後に、油絵学科に僕を暖かく迎え入れてくれた長沢秀之先生(油絵学科教授)、また、武術の精神を見せてくれた山本唯博先生(身体文化研究室教授)に感謝したいと思います。そして、すべてにありがとう!

ヤーコ・カルシ

アールト大学美術デザイン学部
グラフィックデザイン専攻2年
受入:基礎デザイン学科2010年9月~2011年1月

みんなが僕に期待していることからこのコメントを始めたいと思う。そう、この協定留学での時間は素晴らしく、目を見張るようなものだった。色々な意味で、僕の人生において一番いい時間だったし、同時にきつい時間でもあったとも言える。

言葉の壁というものは、乗り超えるには大きすぎる問題だったと思う。それでも、たくさんの学生が僕たち協定学生と仲良くなろうとしていたし、外国語にも強い興味をもってくれていた。いつも言葉が通じたわけじゃなかったけど、それでも皆が努力していたし、僕はそれで十分だったと思う。バッグに入れてフィンランドに連れてって、ここで僕にしてくれたように、色々なとこを見せてあげたい友達もできた。

僕は文化的な違いが誇張されているって言いたいわけじゃないけど、でも日本人の丁寧さや注意深さっていうのは理解するのが難しいこともあった。それに、「yes, yes, yes, yes, yes」って言っているけど、実際は「no, no, no, no, no(本当は分かっていない)」って感じるのは、すごく苛立たしかった。

言葉が分からないっていうことは、僕を「何を、どこで、どう」すべきかわからないという状況に陥らせたけど、授業の内容を辛抱強く訳してくれた親切な僕のチューターや友達は大きな救いだった。だから、たとえクラスの内容をすべて理解できていなくても、そこでたくさんのことを学べたと思っている。他でもないムサビと基礎デで。

パオラ・フィノ

ミラノ工科大学デザイン学部
インテリアデザイン専攻 修士課程2年
受入:工芸工業デザイン学科2010年4月~7月

パオラ・フィノ

今、私はかけがえのない時間をムサビで過ごしていると思います。

これだけの長期間にわたり、イタリア、家そして家族から離れるのは私にとって初めての経験です。そのため、新しい環境や全くの異文化の中での生活には違いを強く感じることがありますが、ムサビの先生方、学生、スタッフの皆さんのおかげで、私は居心地のいい時間を過ごしています。また、ムサビの学生は親切で思いやりにあふれているので、友達とは、学校でだけでなく、プライベートでも楽しい時間を一緒に過ごしています。

イタリアでは通常グループで制作活動を行いますが、ムサビでは各自での制作になります。この違いに難しさを感じますが、一人で作業を行っていても、必要な時にはいつもクラスメイト達が手を差し伸べてくれるので助かっています。

ムサビでの日々は、文化的イベントのるつぼの中にいるようなものです。展示会、パーティー、コンサートなど様々なイベントが学内のどこかしらで開催されており、学校生活は刺激的で、また面白さにあふれています。

インテリア空間における新たなアプローチを学ぶという意味でも、ムサビでの協定留学は私にとっていい機会であり、ミラノを旅立った時よりも、いろいろな面で成長した自分を感じます。この協定留学での生活は、毎日が予想を上回って、すべてが期待以上です。ありがとう、ムサビ!

スワン・レフェブレ

ミラノ工科大学デザイン学部
コミュニケーションデザイン専攻 修士課程2年
受入:デザイン情報学科2010年4月~7月

スワン・レフェブレ

ここ、ムサビで私は本当に素晴らしい経験をしています。イタリアを旅立つ前、私は日本と他の国との違いを考え、すっごくおびえていました。それだけ心配していたのは、日本人はシャイでそんなに感情を表さないと思っていたからです。でも、いざ日本についてみたら、自分達とそんなに変わらないし、奇妙なわけでもないと気がつきました。

ムサビでは素敵な友達、そして心から尊敬できる教授と知り合うことができました。彼らとはこれからもコラボレーションなどを一緒に実現してきたいと思っています。また、デザイン情報学科や国際センターのスタッフはとても丁寧に対応しくれるので、今では皆が家族のような気がします。

私の所属するデザイン情報学科のクラスは本当に面白いです。言葉の問題はありますが、クラスではクラスメイトの一人がスチューデント・チューターとして色々と手助けしてくれます。彼と話すことで、お互いの違いを見い出したり、文化の差を感じることはとても興味深いものです。

私は皆に、土曜日のInteractive Innovation と Contextual Studiesのクラスを勧めたいと思います。クラスそのものが面白いし、違う学科の友人とも知り合えるからです。一番の理由は、楽しみながら同時に学べるからかもしれません。

ムサビでの生活はとても刺激に満ち溢れています。パーティー、展示会、イベントが常時開催され、自分自身を表現することができます。

私はこのムサビでの協定留学を皆に勧めたいし、この夢のような時間が終わらないことを祈っています。そして、この夢の国で皆と知り合えたこと、ここで学んだ事柄すべてに感謝しています。