2012年度採択一覧

スウェーデン国立芸術大学との合同ワークショップ

実施期間 2012年3月26日~30日の5日間
参加大学

武蔵野美術大学[MAU]
教員2名、学生7名
彫刻学科3名(学部2名、修士1名)
映像学科4名(修士3名、博士1名)
篠原規行教授(映像学科研究室)
戸田裕介教授(共通彫塑研究室)

スウェーデン国立芸術大学
教員2名、学生5名
Hinrich Sachs教授(彫刻・ビデオアート)
Miriam Bäckström教授(写真・脚本・ビデオアート)

制作内容

前回、2010年11月に日本で実施されたワークショップでは、本学教員が様々な観点から「時間」に関する講義を行い、学生たちは「10秒を造形する」というテーマのもと、作品を制作しました。

その後、東日本大震災の発生を経て、1年4ヶ月後にスウェーデンで実施された今回のワークショップでは、「タイムトラベラー」をテーマに学生たちが自由な手法で作品を制作しました。「時間」とは何か、主観的な時間の感覚について共にディスカッションを交わしながら、多様なアプローチでそれぞれの作品を作り上げた両校の学生たちは、互いに大きな刺激を受けた様子でした。

KKHとの交流

MUSABI国際交流プロジェクト-Design for Social Innovation(DSI)

交流機関 National Institute of Design (インド)、Ohio State University(アメリカ)、香港理工大学、香港知専設計学院、清華大学、中央美術学院(中国)
実施研究室(代表者) 視覚伝達デザイン学科研究室(キュー・リーメイ・ジュリヤ教授)
内容 プロジェクトの内容によって専門の異なる外部の指導者を招き、技術的、社会的な指導を受けながら20人の学生たちはグループごとに4つのプロジェクトを遂行した。各プロジェクトとも、自分たちが目指す方向と、住民の要望のギャップから徐々に形を変え、当初想定していたものよりも随分と違う所に着地した感があるが、その過程で、何度もプロジェク卜内容の見直しが迫られた。
専門家ではないが震災後の状況を肌で感じている住民と、専門家を目指しているが現地のことはほとんど知らない学生たちとの立場の違いからくる考え方の違いや、両者の間での調整の難しさを学生たちは痛感した。
住民たちの中に潜んでいるニーズを冷静に分折して探り当てるには、相応の経験が必要であり、すべて上手く行ったとは言えないであろうが、現地の人々と丁寧につきあうことで、近い将来企業で働くことになる学生たち自身に、これからの社会を良くするために自分たちにできることを探すきっかけや、自分たちもその中の一員なのだという自覚を与えることができた。

竹を利用したデザインに関する国際交流事業

交流機関 バンドン工科大学(インドネシア)
実施研究室(代表者) 工芸工業デザイン学科研究室(伊藤真一准教授)
内容 竹による"Carry"をテーマにしたプロトタイプを制作した。今回のワークショップでは4日間4人の竹職人が手伝ってくれたこともあり、正味7日間の作業時間を考えると完成度の高いものとなった。また竹という素材の使い方においても新しい着眼点が発見できた。インドネシアの文化と日本の文化についてアイディアを交換しながら学生同士でも新しい発見が多かった。

地下探訪-都市形成の変遷とカタフィル文化の考察(フランス共和国 パリ市)

交流機関 パリ国立高等美術学校(フランス)
実施研究室(代表者) 建築学科研究室(長尾重武教授)
内容 石造りの街並形成による採石後の豊かな地下空間の保存や活用の状況を、両国の学生が実際に体験できる機会となった。 本学学生はもとより、現地学生にとっても自らの足下にありつつもこれまで踏み入れる事のなかった空間を知り、地上にある街並へのまなざしを大きく変えた。それを作品に反映させ発表、意見交換が活発に行われ、実りのある企画となった。

東京・メルボルン交流プロジェクト(Sound of Weather)

交流機関 ロイヤルメルボルン工科大学(オーストラリア)
実施研究室(代表者) 映像学科研究室(クリストフ・シャルル教授)
内容 東京の産業地帯や都市環境とオーストラリアの自然公園で行ったフィールドリサーチ、そして今回の東京での成果発表によって、学生の個人制作と共同制作、また企画の方法が次第に向上し、研究発表効率を高めることができた。それらの経験を踏まえた上で、今後も他国の大学と共同の交流プロジェクトを拡大したい。

協定校C³・プロジェクト2012

交流機関 セントラル・セントマーチンズ・カレッジ(イギリス)、ケルン国際デザインスクール (ドイツ)
実施研究室(代表者) デザイン情報学科研究室(長澤忠徳教授)
内容 ロンドン芸大セントラル・セントマーチン校の教員による「デザインによる気づき」をテーマにしたワークショップを本学で開催。続いて、ケルン国際デザインスクール、ロンドン芸大セントラル・セントマーチン校において、本学教員によるワークショップ「Tea Time」を実施した。本学の「Tea Time」プロジェクトは、12月にデザイン情報学科で公開展示を行った。
三大学の連携は、ケルンでの成果をロンドンで、ロンドンでの成果を本学で公開し、学生がそれぞれの大学での取り組みに刺激を受けた。本学学生は、こうした成果を受けながら、3年ゼミでそれぞれの持ち味を生かしたプロポーザルにまとめあげる方法で実施、展示公開した。

武蔵野美術大学―上海復旦大学視覚芸術学院「旅するムサビin上海」

交流機関 上海視覚芸術学院(中国)
実施研究室(代表者) 教職課程研究室(三澤一実教授)
内容 難しい社会状況の中で実施できたことが何よりの成果であり、芸術文化が生み出す交流の意義の大きさを感じた。特に学生の姿を見ていると、グローバル社会の中で自作品について語ることの必要性や、自ら進んで表現し主張していく姿を目の当たりにして、自身の表現に対する捉え方が大きく変わったようだ。我々教員にとっても、大学教育を国外から俯瞰することで経済と美術のつながりをまざまざ見せつけられた体験となった。

“PRINT Resonance”シラパコーン大学展レセプション参加、およびワークショップ(共同授業)の実施

交流機関 シラパコーン大学(タイ)
実施研究室(代表者) 油絵学科研究室(高浜利也教授)
内容 タイでは入手困難なシナベニヤや和紙、バレンなど、日本独自の道具や素材を使った水性木版画技法によって、シラパコーン大学の学生が実際に作品を制作する機会を持つことを目的としてワークショップを開催した。同時に、本学学生が同じく版画を学ぶタイの美大生と共に、作品制作に取り組む時間を共有する過程で、自国の固有文化を伝えながら異文化コミュニケーションを実践体験する場ともなった。
"PRINT Resonance"で制作された版画集の表紙にも用いられている、日本独自の水性木版画技法である『雲母(キラ)摺り』という雲母(うんも・鉱物の一種)を絵具に取り込んだ特殊な摺り技術の手順を、ワークショップ前半の時間を割いて、本学大学院生が披露した。他にも、一般的な彫りや摺り、和紙の扱いなどもあわせて説明しながら限られた時間の中で、数多くの水性木版画技法に関わるデモンストレーションを実施した。
短い時間ではあったが、両校の参加学生たちも時間が進むにつれ、作品制作を通してお互いコミュニケーションを深めながら、専門的な知識や技術、それぞれの作品世界などについて意見を交換し合った様子が多く見られたことが印象的だった。

MAU-ENSBA: SETSUZOKU #3

交流機関 パリ国立芸術高等学校(フランス)
実施研究室(代表者) 映像学科研究室(クリストフ・シャルル教授)
内容 学生たちが実務レベルでの「作品発表」についての意味を知ることと、国際性を身につけることは、将来彼らが社会において幅広く活躍するための非常に有意義なスキルである。そのためには何が必要か、どのような問題が起きてくるか、また、実現させるための不可欠要素などを、実体験を通し学ぶことはすべての学生にとって今後の活躍の場を広げるきっかけとなった。