学科理念・教育目標

映像学科の理念は開設時(1990年)から「全方位的な映像教育を目指す」ということを継続してきています。「全方位的な教育」とは、これまでの写真、映画・ドラマ、アニメーション、メディア・アート、イメージフェノメナンという映像の諸ジャンルのなかに閉じこもって創作を研究するのではなく、表現メディアとしての映像と言語、それに音と造形を加えた4つの言葉を使いこなして映像の諸ジャンルの特性を引き出し、カドリンガルとも呼ぶべき映像表現者と映像表現の理解者の巣立つ場をつくりあげようという意味です。この目標を掲げられるのは、これまで大学が行ってきた文化総合科目(身体運動文化、教養文化、言語文化、造形文化などに関する科目)と造形総合科目による教育が前提としてあるからです。武蔵野美術大学の教育環境の中で、映像学科はそれらをさらに拡大して、映像の分野でメッセージを想像することのできる人材の育成を目的としています。また、この目的を自ら達成できるように、映像の諸ジャンルにおいては「多面的」に学習できること、専門的に学習できることの両方が可能な科目構成が組まれています。このような「多面的」学習方法と「全方位的」な教育の理念とを併せて、映像を「総合的に学ぶ」という、他大学にはない特長を揚げています。

専門的に学ぶことと「総合的に学ぶこと」は、一見矛盾しているようですが、本来の専門性は総合的に学ぶことからしか得られません。またそれを映像において可能にしているのが映像の諸ジャンルが共通して持っている「情報性」と「時間性」という特徴です。

以上の理念はまさに現在の映像の制作環境や社会的要請と一致しており、本学科の未来へと継続すべきであると考えています。

カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)

映像学科は、真実を見つめる強い意思の向上を図り、自由かつ大胆で真摯な創造的感性を磨き、美意識の高揚を志して表現の眼を育むことを目的としたカリキュラムを実践しています。それは作品制作と制作指導を教育の基柱にしており、映像という領域のさらに内側にあるジャンルの専門教育を横断することによって、映像表現の総合性を感知し、自らの確信のもとに本来の専門性を獲得するための全方位的なカリキュラムです。
本学科は「映像文化」が言語を超え、国境を超え、民族・宗教をも超えられる「存在」であると認識しています。文化総合科目で学んだ知識や教養を表現行為や行動に変えて、変化する世界の社会状況に対応できうる文化創造の担い手となる映像の表現者と映像の真の理解者を育成します。

アドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)

映像学科は本学の各種入試形態において、鉛筆デッサン、小論文、数学が選択できたり、公募推薦入試のようにディレクション資質を測る構想力テストやクリエイション資質に対応した、写真や動画提出による面接を実施しています。それはこれらの特化した資質のどこからでもアプローチ出来るのが映像の分野だと考えているからです。したがって様々な資質を求めています。

そして入学後はそれらの資質からアプローチするだけではなく、不得意な科目や技能を克服して、自らの映像領域を築き上げることを期待しています。

また特定の領域に興味の有る人も求めています。映像の諸ジャンル(ドラマ・映画、アニメーション、メディア・アート、イメージフェノメナン)のいずれかに興味の有る人。デザインや絵画に興味が有り、そこに時間性を与えてみたい人。場所や都市に興味が有り、そこでの出来事の可能性やドラマツルギーを追求したい人。何れの場合もあくまでも映像表現をとおしてメッセージを創造しようとする人を求めています。

ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)

3年次の映像表現実習と4年次の卒業制作は指導教員を個々に選んで制作しますが、講評・評価はジャンルの枠を取り払って、指導教員全員によって行っています。それは、映像学科の理念である「全方位的」、「多面的」、そして「総合的」な学習の成果として制作を捉えているからです。特に卒業制作の評価は制作を4年間の学習の集大成として捉えるだけでなく、上記の様な教育理念のもとでは4年次においても多面としての映像ジャンルの重心を移動させることでも可能であり、その場合は卒業制作をその後に繋げる可能性あるいは過程として捉えています。したがって評価の基準は表現のテーマの独自性や技能の完成度だけでなく、映像の領域の実験性や、問題提起の深度も加えています。また映像表現実習と卒業制作以外のすべての科目は4年間をとおして各指導教員の絶対評価によって単位が与えられています。