大久保真希Ookubo Maki

作品写真:ネグセ
作品写真:ネグセ

ネグセBed hair

写真、映像|プロジェクターPhoto, video | Projector3min ×3点

小学校のころから、雨の日はうねり、
晴れの日は逆立つこの髪の毛に
悩まされてきた。
特に朝はひどい。
この制御不能な髪の毛を
誰かに見せたくなった。
2012年7月1日~2015年現在まで毎日、毎朝、ネグセを撮影。
編集し、2年9ヵ月を約3分の映像にした。

今日も私は、ネグセと闘う。

大久保真希

3年近くにわたって、休むことなく毎日撮り続けた作者自身の寝癖写真で構成されたスライドショー形式の作品である。毎朝、自分自身の身体を強制的にカメラの前に曝すことによって、マグショットや証明写真のような客観性を獲得することに成功している。まるで標本箱に収められた昆虫が動き出すかのようなエモーショナルな効果は、写真と動画の境界が曖昧になりつつある現在の状況に批評を与えている。

映像学科教授 小林のりお

神谷峻輔Kamiya Shunsuke

作品写真:アレのための装置類
作品写真:アレのための装置類

アレのための装置類Devices for stuff

映像、インスタレーション|木材、家具、照明、日用品、プロジェクター、アンプ、楽器類Video, installation art |Wood, furniture, lighting, commodity, projector, amplifier, musical instruments5min

写真を勉強したくて入学したが、制作を続けるうちに「写真に撮りたくなる状況」を作るほうに興味があることに気がついた。
極端な状況に身を投じて、ただそこにいるだけという枠組みだけを作って、あとはカメラをまわし続けた。あと、立方体も回し続けた。

神谷峻輔

パフォーマンスを撮影するための装置。160センチの木製立方体、重さが100キロの箱の中は、電球で照らされている録音スタジオのようなインテリア。そこで一人のミュージシャンが演奏を始める。大地震、又は乱気流の中の飛行機やスペースシャットルのように部屋は揺れ始め、無重力のような空間に突然変容する。さらに数人の黒子が箱を転がしている様子が映し出されている。中では、孤独なパフォーマーが演奏し続ける。危機感、エネルギー、ナンセンス、ユーモアなどが明確に伝わる鮮烈な作品。

映像学科教授 クリストフ・シャルル

清原惟Kiyohara Yui

作品写真:ひとつのバガテル
作品写真:ひとつのバガテル

ひとつのバガテルA Bagatelle

映像|HDV|72min30secVideo|HD video

いつも弾いている音楽がある。自分でない誰かも、その音楽をどこかで弾いている。近くて遠い音が聴こえてくる。
団地でピアノのある部屋を間借りして暮らしているあき。ある時、一通の差出人不明の手紙を受け取る。手紙に示された場所を探し団地を歩くが、それは存在しない番地だった。部屋に残された音の記憶をたよりに、あきは自分の音楽をみつけようとする。

清原惟

ピアニスト志望だった主人公は、古い団地でピアノを所有する老婆の部屋に居候し、お決まり曲を練習。芸術家の創造力を奮い立たせるレコードの選曲仕事を決めたある日、八百屋から謎の手紙を受取り、女子高生と発信者を探し始める。不在の番地、古い地図の発見、踊り子の伴奏者の調べ‥‥やがてある行き方でしか辿り着けない記憶の在処に到達し、やり残した願いを成就する。暗号を読み解くような文学性、不思議な愛おしさと音楽的抽象の気品に溢れた一編。

映像学科教授 小口詩子

森永悠仁Morinaga Yujin

作品写真:アニマロガメ
作品写真:アニマロガメ

アニマロガメemagoramina

映像|プロジェクター、スピーカー 他|28minVideo|Projector, speaker, other

母の死を受け入れられず誇大妄想症(メガロマニア)となった女の子、光(ひかり)の話です。妄想上の楽しい出来事と現実が交錯していき、辛いことを受け入れ前進する物語ですが、そこに私のノスタルジアを投影しようと試みました。
私には親友がおり、昔彼といる時に抱いた全能感のようなものや、彼にだけ伝わる言語のようなものがあったこと。逃避にも似た夢を描くことや、頭にずっと同じ音楽がループしていたことなど。幸せや楽しさを感じつつも心の奥底でセンチメンタルな気分を噛み締めている様な気持ちを表現したいと考えました。物語以上に、鑑賞者の過去や現在に語りかけるような何かを感じて頂けたら幸いです。

森永悠仁

亡き母や男友達の幻影との日常的共存と交信が、思春期の少女をトラウマから遠ざけ、現実と折合わせる。現世界の住人である父親と、自身を大人へと導いてくれるはずの共犯男に守られ、少女は生きている。リアルと夢想の交錯する中、救済の手がかりを掴む父との道行きをきっかけに、少女は覚醒する。現実と向き合い、受容され、入れ墨を施される肉体の儀式による成長寓話。自我が生み出す虚実綯い交ぜの少女の実世界をナイーブに表現。

映像学科教授 小口詩子

中村小百合Nakamura Sayuri

作品写真:青春風
作品写真:青春風

青春風youthful wind

映像|手書きアニメーション、デジタル作画|3min55secVideo | Animation, digital drawing

青春は台風だと思った。
暴風の中では激しい風雨で苦しい。
でも、少し離れたところから見ると轟く雷も、低い風の音も、雨の鋭さも、なぜかとてもどきどきして惹かれてしまうのだ。
ぐるぐると不安と期待がないまぜになった風を吹かせたい。

中村小百合

アニメーションとマンガはとかく混同されますが両者は全く別物です。マンガをストーリー進行の決め絵となる「コマ」によって構築される表現手段と考えるなら、コマとコマの「欄外」を描く事こそがアニメーション表現の真骨頂なのです。それは過ぎ行く瞬間の連続によって成立する音楽作品とも共通する「時間のアート」と呼べるでしょう。そこを中村さんは徹底的に探究し、骨太な構造と繊細な詩情の共生を実現しました。さりげない仕草や会話の中に戯作と演出も行う彼女ならではの感性が光っています。

映像学科教授 黒坂圭太

長島大賀Nagashima Taiga

作品写真:月のかえる
作品写真:月のかえる

月のかえるFrog of Moon

映像|ストップモーションアニメーション|7min34secVideo | Stop motion animation

童話のような物語のパペットアニメーションを目指しました。
登場キャラクターの人形や小道具は手作りしながらもCGや切り絵、粘土など様々な素材を画面に入れています。
魅力のあるキャラクターを作り、そのキャラクターがどのような仕草・動きをすれば面白いかという点に重点を置きました。

長島大賀

ギターを奏でながら陽気に月で歌うカエルが足を滑らし、地球らしき惑星に転落するところから物語が始まる。
森のなかで出会った様々ないきものたちが、なんとか故郷の月へかえしてあげようと、奮闘する。
森の住人とカエルとの言葉を超えた交流。
丁寧に手作りされた人形たちのしぐさと表情、それを支える精細なセットが寓話の世界へと誘いこむ秀作。

映像学科教授 三浦均

渡辺真悠Watanabe Mayu

作品写真:きみののるふねに
作品写真:きみののるふねに

きみののるふねにToward you

インスタレーション|モニター、プロジェクター|H6700 × H2400 × D8200mm

あらゆるものの動きに助けられて、私もやっと動けているように感じていました。
動くということはものとものの間を震わせ、たましいの力をもらってはあげるを繰り返すことです。
ちいさな動きもそうであると信じ、21個のアニメーションを制作、構成しました。
この空間が一時のおまもりになればと思います。

渡辺真悠

渡辺真悠の作品の特徴は、映像制作の手法に対する冷静な意識と映像の様々な出力媒体でレイアウトした展示壁面の構成にある。21種類にも及ぶ映像は、ステンシル、フロッタージュ、コラージュ、マルチプレーン等の手わざを消滅させるような手法に支えられ、それらの映像のモチーフの動きの総和が波立ちとして経験されるような場所を形成している。また、異なる形式の映像出力媒体の各々を、独自のサイズと映像の強度をもった点として捉え、それらの濃度分布によって展示壁面を充たしたことは見事である。

映像学科教授 板屋緑