池田頼果Ikeda Raika

作品写真:樹球
作品写真:樹球
作品写真:樹球

樹球Sphere of tree

スチロール玉、粘土、アクリルStyrene, clay, acrylic boardH100 × W100 × D100mm ×3点 H120 × W120 × D120mm ×4点 H150 × W150 × D150mm ×2点

樹木には、樹皮、皮目、その場の環境に順応していくなかで生じる凹凸がある。樹の表面を観察することにより今まで樹体を守ってきた背景が見えてくる。それは樹々の個性であり、表情なのだ。「守る」という形態の変化に着目すると、動物や人間でいう卵の殻や、身を丸くする、など球状なものを連想させる。そこで樹を球体に落とし込んでみた。普段目にする自然物の樹の形をなくし、樹球という新たな自然物を成長させていく。そして表面に新たな表情を浮き上がらせる。

池田頼果

いつもの見慣れた風景のなかにある木々。長い時を経てさまざまに変化していく樹の幹を子細に観察する。作者は成長しながら肥大化していく樹皮の表情に心を惹かれた。そこにはそれぞれの樹体を守ってきた無数の証が刻まれているという。変容した樹皮を子細に観察しその姿を球に見立てたキャンバスへ克明に写し取る。それはあたかも空間に浮遊する樹々の惑星のように見える。あらたな生命を宿したような不思議な感覚を覚える作品である。

基礎デザイン学科講師 野口正治

柏村さくらKashiwamura Sakura

作品写真:文字から見えてくる風景
作品写真:文字から見えてくる風景
作品写真:文字から見えてくる風景

文字から見えてくる風景 ~コンクリートポエトリー×身体~scenery in letters ― concrete poetry × body ―

パフォーマンス|紙、アクリル、プラスチックダンボール 他Performance art | Paper, acrylic board, corrugated plastic, otherH2750 × W2750×D2750mm 15min

文字の配置によって風景を感じさせるコンクリートポエトリー。
冷たく固い印象のコンクリートポエトリーの風景に、有機的で熱を帯びた自らの肉体を投じる事で新しい風景を生み出そうと制作に挑んだ。
新國誠一作品の中から6つの作品を選び、四畳半を現した『位置』という作品を軸に、1ページが四畳半サイズの巨大な作品集を作り舞台装置とした。

池田頼果

新國誠一のコンクリートポエトリー6篇を、身の丈をこえる本に仕立てた舞台で行われる舞踏。漢字が整然と連なった硬質な印象をもつ詩の「静」、顔から腕にかけてドーランを塗り、やわらく肢体をくねらせておどる緩急の激しい「動」。そのつよい対比は、一冊の詩集の真っ白な見開き頁に黒い活字がぎっしりと配列された静寂な空間にいのちが吹きこまれていくようで、あるいは詩の行間をよぎる精霊のようで、強く胸に迫ってくるのだ。

基礎デザイン学科教授 板東孝明

加藤美帆Kato Miho

作品写真:金魚

金魚Gold Fish

映像|パネル、アニメーションVideo | Panel, Animation|H841 × W594mm ×14点 2min50sec

長年にわたって日本人好みに品種改良されてきた、いわば人工の生き物である金魚。その姿を分析的に整理し、グラフィカルに表現することで、彼らの美しさ、愛らしさと同時にある「人工的ないびつさ」を顕在化させた。人が制御することによって生み出される作為的な形と、そこから逃れようとする生物としての自然な形。その二つのせめぎ合いの中で、金魚特有の情緒は生まれる。彼らによって誘い出される、私たちの多様で複雑な情感を示したい。

加藤美帆

加藤美帆は金魚を極限まで簡潔に表現し、美しいグラフィックデザインを生み出した。金魚は人間が種の交配によって作り出した観賞魚で、目の大きさ、模様、ひれの形など、目指す特徴を強調する方向に進化させられてきた生物である。金魚の特徴を単純化することで、それぞれの金魚に対して人間が見立てた理想が浮かび上がってくる。
日本の伝統美を現代的に捉えた作品としても優れているが、動画として表現された際にも、描かれていない身体部位が、魚体の重なりのなかに現れてくるところに見応えがあり、思わず引き込まれる。

基礎デザイン学科教授 原研哉

髙室湧人Takamuro Yuto

作品写真:Typeface of 1min.
作品写真:Typeface of 1min.
作品写真:Typeface of 1min.

Typeface of 1min.

ミクストメディア|紙、プロジェクターMixed media | Paper, projector12min

1分間とは何か。私達はそれを砂が落ちて溜まる堆積量の変化や、60回角度を変えながら一周する針の運動などで表現し、理解してきた。この1分間の表象とも言える“動きの変化”を、私は時間の新たな表現の対象として“文字” に転移させた。文字は本来、言葉を伝達する為の道具であり、時間を測定する装置ではない。あえて時間という尺度を持たない“文字”つまり“ 言葉”を時計の針と見立てる事で、1分間を新鮮に捉え直す事ができないかと考えたのだ。一連の表現は文字を用いた“1分間”の暗喩であり、詩である。

髙室湧人

髙室湧人は、「1分」という時間を表現する時計的なモーション・グラフィックスを追いかけていた。ある時、文字を回転させ、それによって「1分」が表現できることに気づいた。「時計」という表現から離れることで、むしろ時間に出会うことができたのである。髙室がデザインした「1分」は、一秒ごとに薄くなっていく文字の形の積層によって、一秒一秒が過去化していく風景となっている点が秀逸である。世界が一秒ごとに過去になっていく光景には不思議な無常観が漂ってさえいる。時間あるいは過去が描写されつつ、同時に「言葉」として放たれるメッセージはとても詩的である。

基礎デザイン学科教授 原研哉

松尾美果Matsuo Mika

作品写真:昇果

昇果Sublimation

写真|紙、インクジェットプリント|冊子Photo| Paper, ink jet printingH300 × W460mm ×40点|H130 × W200

果実ひとつひとつとじっくり向き合い、誰が同じことを試みても見つけられるようなかたちを探した。
包丁を入れるたびに表情がかわる。
切ればそれだけ、分離したそれぞれがかたちも重さも変わる。
不思議なことに、どこをどう切ろうというのは目の前の果実によって判断されているようだった。
それほど自然にかたちを見つけていった。
配色、種のレイアウト、繊維の方向、軸の傾き、透明度など個々で様々だ。
一目惚れに近い、絶景との出会いを大切にしたい。

松尾美果

美味しそうに撮られた果実の写真は世に溢れるほどある。作者は目の前の豊かに実った果実に趣くままに刃をいれる。あたかも実を切ることで内に秘めたかたちを見つけ出すかのように。皮を剥かれ果肉を削がれ種を取られて瞬く間に表情は変わっていく。そのひとときを楽しむかのように写真に収める。そこには今までみたことのない果実の姿が鮮やかに現れる。ひとつひとつの果実は生き生きとして貴石のようで無駄がなく美しい。

基礎デザイン学科講師 野口正治