志田陽子教授が共著『日本は本当に戦争に備えるのですか』(大月書店)を出版

志田陽子教授(教養文化・学芸員課程)が共著『日本は本当に戦争に備えるのですか』(大月書店)を出版しました。

『日本は本当に戦争に備えるのですか』

岡野八代・志田陽子・布施祐仁・三牧聖子・望月衣塑子(共著)
大月書店、2023年4月発行

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(志田教授より)
2023年1月に同志社大学で行ったシンポジウムの内容をもとにした単行本『日本は本当に戦争に備えるのですか』が大月書店から出版されました。出版後2か月で2刷の発行となりました。
昨今の日本の安全保障をめぐる議論に必要な視点を、ジャーナリスト・政治学者・国際政治学者・憲法学者がそれぞれの知見から、提供しています。私は憲法学者として、第4章を書いています。

私は、議論の全体を、(1)国民の安全と平和的生存を真に考えた政策か、副作用をしっかり明らかにしているか、(2)「法の支配」の意味を真に理解した政策か、(3)民主主義と国民主権のルールにのっとった政策か、(4)財政民主主義にのっとった政策か、という4つの視点に整理しました。このうち(1)はジャーナリズムに担ってもらいながら憲法論が参考にすべき議論です。(2)は憲法から国際法にまたがる領域です。(3)は2015年以来の国会軽視の傾向を視野に入れながら、「民主主義の結果と言える結論かどうか」、「主権者の意思を問う「憲法改正国民投票」を行わないまま憲法の実質的内容を変更するという憲法違反が起きていないか」、という問題を問います。(4)は、政策を実現するために必要な予算を決めるのに、その財源(国民の税金)をどうするのか、税金の担い手である国民の同意を得たと言える決め方をしたか、という問題を問います。
私の議論は、すべての結論が憲法によって出るというものではなく、一部は憲法によって答や方向性が出るけれども(立憲主義)、一部は主権者・国民が何を望むかによって決まる(民主主義)、というものです。安全保障や防災や経済政策については、このように、(1)から(4)までの視点で国民が納得できるか、負担できるか、と問う必要があります。読者のみなさんが主権者として今もっている《考える資格》に気づいてくれることを願って、執筆を担当しました。

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