伊藤知宏個展 そこにあるものをえがく -ある日私は野菜の夢を見た-

日程 2020年1月9日(木)~2020年1月26日(日)
12:00-18:00 *開廊:木・金・土・日
場所 i Gallery DC(山梨県笛吹市石和町市部789-99)

伊藤知宏さん(2003年度油絵学科卒業)の展覧会のお知らせ。

伊藤知宏個展 そこにあるものをえがく -ある日私は野菜の夢を見た-

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私は、普段から日常にあるものを描き、日常を異化させる作品を作っている。
私はニューヨーク(以下NY)と東京を行き来きするようになって間もなく1年半がたとうとしている。

日本とアメリカの食生活は大きく違う。NYでは、現地のスーパーにあるちょっと元気のない野菜たちから少しづつ小さなエネルギーをもらった。(NYの野菜が元気がないのは、遠方からの運送により野菜が弱ってしまうのと、その出荷の時期が早すぎるのが理由だそうだ。)

まだNYの環境になれず、日常生活がなかなか思い通りに送れていなかった私は、ある日野菜の夢を見た。
野菜と言っても超巨大なNYの野菜の夢で、私はその野菜の前にふわふわと浮かんでいた。
僕の目の前では、野菜の生と死そして再生が同時に混在し、野菜の小さなエネルギーが爆発し、まるで宇宙の始まりのように何度も何度も破壊と再生を繰り返していた。

夢から覚めると、なぜかまた絵を描こうという前向きな気分になっていた。

私の絵は圧倒的に線で描かれたものが多い。
線と言えば、子供が最初に手にペンをとって描くのもの、日本の伝統的な絵画の手法、とっさにメモをとりたい時にカミとペンで描くもの、だったりする。
しかし今思うと、私の場合は線の中に構造体のようなものがあり、ただ線を描くというよりもまるで別の次元から向こう側にある対象をこちら側に掘り起こす行為に近いと思う。
これらは、彫刻的な感覚であろう。
15年間制作し続けその中で、絵画の言葉では伝えられない魅力について、私の考えや線で描くという表現方法は、結果的にはほとんど変わることはなかった。

今回はそんな線でできた新作を展示する、私の山梨では5年ぶりの個展だ。
今回の展示をアメリカと日本の友人たちに捧げる。

伊藤知宏(いとうちひろ)プロフィール: 
1980年生まれ。阿佐ヶ谷育ちの新進現代美術家、画家。武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業。日本政府から助成金を得てニューヨークへ渡米。東京、欧米を中心に活動。Vermot Studio Center(アメリカ)のAsian Annual Awardを受賞。東京、フランス、ポルトガル(Guimaranes 2012、欧州文化首都招待〈2012〉、O da Casa!招待〈2012、13、15〉、CAAA招待〈14、15、16、17、18〉)、セルビア共和国(NPO日本・ユーゴアートプロジェクト招待〈12、14〉)、キプロス共和国(Home for Cooperation招待)中国、韓国、アメリカを中心にギャラリー、美術館、路地やカフェギャラリー、畑などでも作品展を行う。文化庁新進芸術家海外研修制度研修員(2018-19)および日米芸術家交換計画日本側派遣芸術家。The Master Art Prize 1位受賞(パリ・フランス)。フルクサスの研究も行う。近年は花、野菜、音や“そこにあるものをえがく”と題してその場所にあるものをモチーフに絵を描く。 “人と犬の目が一つになったときに作品が出来ると思う。” 

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