飯田啓輔Iida Keisuke

SECRET BASE

木材Wood90.0 × 500.0 × 876.0cm

僕達現代人は、結局、自然と共生する事を、自然という大きな森に入り込むのではなく、外から見て、手を加えない事だと思っている。事実、僕達は自らの作り出した人工物の世界に、都合のいい自然物だけを受け入れている。
僕は、外観において、あえて自然物の中に、暴力的に、景観を破壊するように人工物を挿入する事で、この場の自然に対して一歩踏み込んで関わるとともに、内観において、外からは見えない普段多くの木々として遠くから見る木一本一本を見せる事で、自然という森を構成する木その一本一本と向き合う大切さと、その木の全てを見せない触れさせない事で、自然という森の良い面しか見ず、一歩引いた形でしか関わっていない僕達現代人と自然との関係を表現した。

飯田啓輔

飯田啓輔の作品「SECRET BASE」は、建築空間をアートとして体感するインスタレーションである。今回彼は7号館と8号館間の緑地を使い、その木々の中にあえて人工物を介入させ、「場」に踏み込むかたちで自然をより手元に引き込んだ作品を制作した。トライアングルに構成された空間内には3本の樹が巻き込まれ、それぞれの木は、その一部しか見ることが出来ない。当然鑑賞者の我々は、切り取られた部分ディテールから全体の樹木を想像するのだが、この関係性は、現代我々人間と自然の関係とも言えるのではないだろうか。

建築学科客員教授 土屋公雄

鈴木祐史Suzuki Yushi

海の杜Umi no Mori/Sea Grove

模型|木材、ピアノ線、紙、他Model|wood, piano wire, paper, other120.0 × 200.0 × 12.0cm、120.0 × 120.0 × 7.0cm

東日本大震災により、塩害を受けた稲作地域復興への提案である。

雨にも負けず、風にも負けず、何度でも立ち上がる稲穂の波の様子。

震災から強く立ち上がる象徴として、その稲穂の波を建築の形態に落とし込む。

田んぼ道に沿って形成された場はそれぞれ傾斜、高さ、広さに違いを持つ。
海の杜に来る人々は、その時のアクティビティに合わせて場を選択する。
用意された場にいくつものシーンが生まれ、地域性を持ったコミュニティーの再生につながっていく。

鈴木祐史

生まれ育った地域が東日本大震災で津波被害に遭い、その田圃に構想されたプロジェクト。かぶった塩分を抜くため土を堆積する場として、また周囲の人々が集まる場として計画された。海に向かって半分開き半分背を向けるという、思いがそのまま形になったようなダイナミックなうねる造形である。当初建築物(内部空間を持つボリューム)を想定してスタディが始まったが、最終形は環境造形的なものとなって田圃にさまざまなイメージを喚起する場を提示した。

建築学科教授 高橋晶子

田中里加子Tanaka Rikako

はたけ生活life with the farm

模型|黄ボール、スチレンペーパー、シナ合板Model|yellow cardboard, styrene paper, linden plywood110.0 × 130.0cm 60.0 × 100.0cm

幼い自分が田舎で感じた、草のにおい、土の感触が今でも心に残っています。

便利ではないけれど、自然とともにある生活に手間ひまかけることで、あたりまえにあるものに感謝したり、幸せをわかちあう。

そんな畑と住宅と店舗が一つになった集合住宅を設計しました。
ここで畑を通し住民や地域の人々の新しい繋がりがうまれることを期待します。

田中里加子

幼い頃に田舎で感じた体験を動機付けに、現代の都市部において、自給自足の新たな居住環境を提案した作品。計画は、農地面積が23区内で一番の練馬区に敷地を設定し、「畑」と住宅と店舗が一つになった集合住宅である。
「畑」を持込むことよって、地域住民の新しい繋がりを予感させる提案である。傾斜した敷地における畑と住居の巧みな断面計画によって、各住戸と共有部分の多様な関係をつくりだしている。

建築学科教授 布施茂

任宥騰Jen You-teng

島人・病人・旅人inhabitant・patient・traveler

模型|スチレンボード、紙、バルサ、スタイロフォームModel|styrene board, paper, balsa, styrofo72.7 × 50.0cm × 2点 72.7 × 53.0cm × 2点 122.0 × 145.0cm

愛知県の三河湾にある篠島は時代に弄ばれたように全島の約八分の一の土地が放置されたまま。そこを旅することで癒しを求める人や病のせいで癒しを求める人のための場所を考案した。島の過去と未来とを繋ぎ、医療の力を借り、特徴的な社会構造を現代的に読替え、子供ホスピスを含む地域再生を計画した。そこに滞在する人は、実際に診療・看護を受けられるのに加え、自然環境、そして生き生きとした島の人々の活気にも癒されるのではないかと考えている。

任宥騰

名古屋からほど近い島に計画された、病を持つ子供と看護する家族が短期滞在するホスピス。区切られた敷地のなかで完結した終末医療施設ではなく、島の日常のなかに子供や家族がとけ込んでいくことが構想され、住民と訪問者がふれあう場がつくられた。
島は高度成長期の埋立、バブル期のゴルフ場開発を経て、現在は開発された土地が打ち捨てられている。片方に島の再生があり、もう片方にホスピタリティをベースとしたプログラムの提案がある。建築はランドスケープと一体的にデザインされ、おだやかに人々の行為を包容する。丁寧な調査のうえに提示された計画は説得力があり、これからどんなものを作っていくのかという問いにしっかり向き合っている。

建築学科教授 高橋晶子

藤野芳昭Fujino Yoshiaki

〼〼〼〼〼masu

模型|映像|シナベニヤ、ヒノキ棒、プラ板、他Model|movie|Linden plywood, cypress sticks, plastic boarding, other190.0 × 190.0 × 100.0cm 70.0 × 70.0 × 10.0cm 50.0 × 50.0 × 50.0cm

正方形で区切られた碁盤の目。
一定の間隔でならべられた建物と空間。
そのシステムを徐々にずらしていく。
こうして空間と関係性を作る。
私は単純な操作をすることにした。

藤野芳昭

京都のグリッドの都市空間を意識したかのような四角い建物は、グリッドをたくみにスウィープさせる形で全体を構成していた。
スラブはそのスウィープした断面であり、柱はその軌跡であると捉えることができ、その構成は、新鮮かつ新しい建築の構成部材のあり方を提案しているように思えた。プレゼンテーションもその操作方法を動画で見せてくれるなど丁寧さがあり、巨大な木の模型をはじめ見るものを楽しませてくれるものであった。

建築学科准教授 菊地宏

森洋樹Mori Hiroki

「   」

インスタレーション|ガリバリウム鋼板Installation art|galvalume350.0 × 800.0 × 2000.0cm

普段、ある場所へと移動する際、その間の風景を思い出そうとしても思い出せないことがあると思う。それは受け取った情報の必要・不必要を無意識的に選択しているからである。
見えているが見ていない、そんな人の無意識により空白となっている場所、それを視点を変え再認識することで、普段より少し周りを見るきっかけを作り今いる場所を実感出来るのではないだろうか。

森洋樹

2号館と4号館の間に制作された森洋樹の作品は、ガルバリウム鋼板を素材とし、通路広場の石畳表面をエンボスという技法で写し取った巨大インスタレーションである。彼は今回の作品で、我々が普段気づかずに通り過ぎている空間に視点をあて意識させることで、「場」の再確認を図っているのである。さらに幅8メーター奥行き20メーターの一部が吊り上げられ、そのガルバ鋼板裏面には、素材である石表面のテクスチャーまでが明快に表現されているのである。

建築学科客員教授 土屋公雄