阿部和樹Abe Kazuki

凶暴性Ferocious

高知麻紙、岩絵具、水干絵具、墨Kochi mashi hemp paper, mineral pigments, dyed mud pigment, ink183.4×461.5cm

メッセージMessage

高知麻紙、岩絵具、水干絵具、墨Kochi mashi hemp paper, mineral pigments, dyed mud pigment, ink183.4×184.6cm

4年間、魚ばかりを描いてきました。魚を通して日本画を、また日本画を通して魚を理解していったように思います。

水の世界で生きている彼らの不気味さや美しさを、僕なりに精一杯描いていきたいです。

阿部和樹

魚を含めた自然のいきものは古くから日本の絵画の題材として扱われてきた。
そこには西欧の世界観と異なる自然との関わりを大切にしてきた日本の人々の暮らしがあったように思う。
しかし、現代の我々が同じ題材を描いたとき、かなり変質した意味を感じざるを得ない。
阿部はその穏やかな描き方のなかに古典絵画への共感と違和感、そして現代の閉塞感を水槽のなかの熱帯魚に託して表現している。

日本画学科教授 尾長良範

男鹿哲平Oga Teppei

電気コードによる造形表現―群像―Fine-arts expression by an electrical cord ̶group―

合板、電気コード、釘、オイルステインPlywood, electric cord, nails, oil stain4点1組、各270.0×180.0cm

500m以上のコードを5000本近くの釘で固定して線を表現。夢中になってコードを走らせ、ひたすら釘を打った。何も考えずに一心不乱に。
描かれた群像は、考えることを怠け、ただ笑っているだけの人々。電気コードさえ差し込めば満たされる。 脳も、骨も、血液も、体のすべて電気コードで支配される。私自身もそうだな、と思う。もっと自然を見て、季節を感じて、味を比べて、生きていく知恵をつけなければ、と自分に言い聞かせる。

男鹿哲平

厚い濃褐色の板を基底として白い電気コードの線を折り曲げて人間群像を表現した作品。電気コードの白い線は、のたうちまわるようにひと形をなぞらう。人は笑い叫び、悩み、生きる。
今迄に使われたことの無い素材を用いて人間の生き様を表現したダイナミックな作品は見る者に強い衝撃を与えた。

日本画学科教授 滝沢具幸

齋藤菜菜恵Saito Nanae

乞い力the push

高知麻紙、水干絵具、鹿膠Kochi mashi hemp paper, dyed mud pigment, deer glue240.0×300.0cm

緑間green space

高知麻紙、岩絵具、水干絵具、墨Kochi mashi hemp paper, dyed mud pigment, mineral pigments,deer glue228.0×182.0cm

ただひたすら描いたものと、その時の限界まで悩んで描いたものと、それぞれ全力が出せた作品になったと思います。

齋藤菜菜恵

大画面に描いた鹿の群、独自の俯瞰した視点で取り組んだ絵画世界は、静かな迫力にあふれる。人にせまる鹿達、物を乞うその姿には強靭な生命感がひそむ。対象を真正面から見据え描いた作品からは、作者の新鮮な感性と内面性豊かな造形への熱い眼差し、瑞々しい色彩への思いを感じとることができる。
今後の力強い新たな展開を心から期待する秀作である。

日本画学科教授 三浦耐子

パクソンギョンPark Sunkyung

WATER SPACE-破WATER SPACE–break down

韓紙、岩絵具、墨、アクリルKorean paper, mineral pigments, ink, acrylic board250.0×540.0cm

WATER SPACE-存在WATER SPACE–existence

韓紙、岩絵具、水干絵具、墨、アクリルKorean paper, mineral pigments, dyed mud pigment, ink, acrylic board251.0×180.0cm

東洋画は線から始まる。線で物を表現し、空間を分ける。細いが画面を圧倒する線の力に魅了され、日本画を始め、未だに線で作業している。
この作業の基本は‘水’だ。水を線で表現するために私は氷山、つまり、氷という固体の水をモティーフに設定した。海の中に存在する巨大な氷山。水の中にあるまた他の水。ある画面の中に共存する他の形態の水を描き込んだ。

パクソンギョン

力強い線とフォルムは絵画を生む。作品を見ると絵画に於ける線の意味をあらためて考えさせられる。線は思いがけないほど粒子の粗い絵の具で盛り上がり、空間を刻むように描かれ、フォルムとなる。作者は東洋画の線に魅了されて日本画を学び、「水あるいは氷山」をテーマとした線と面による表現を追求して来た。空間を大胆に裁ち切る線と面による構成、造形力、色彩と優れた絵画作品である。

日本画学科教授 内田あぐり