授業科目の一環として、国内外のそれぞれの領域で活躍する専門家を訪問教授として招き、講義や講評会という形式で、特別授業が開講されています。これまでにも著名なアーティストやデザイナーの講演や講評会、公開シンポジウムなどが多彩に行われています。また、テーマを設定したワークショップや、学科の枠を超えた合同制作・講評会などの、実験的な試みもなされています。
訪問教授の紹介
2017年度
浦田秀穂
日本(シンガポール在住)/ 撮影監督、ラサール・カレッジ・オブ・アートPuttnam of Film School and Animation 映像学科教授
- 受入期間
- 2017年4月17日(月)~4月22日(土)
- 受入研究室
- 映像学科研究室
- 担当教員
- 小口詩子教授
- 講義・指導内容
- 撮影照明ワークショップ
- 課外講座
- 撮影監督という仕事-海外フリーランス
浦田秀穂氏は、アメリカ合衆国の映画の現場でキャリアをスタートさせ、現在国内外で撮影監督として活躍している。映画、CM、ミュージック・クリップなどの撮影を数多く手掛けるかたわら、2011年より本学の協定校ラサール・カレッジ・オブ・アートで撮影コースの教授を務めている。その教育実績と指導に定評のある氏を招き、実写ドラマや映画を志向する学生に向けての撮影照明授業・ワークショップを開催した。豊富な経験に基づく技術指導はもとより、撮影現場でのコミュニケーション、ネゴシエーション、チームワークなど、各国の様々な映画監督たちと仕事をしてきたことによる生きた知恵が実践を通じて伝達された。課外講座では、氏のフィルモグラフィーを柱に、撮影監督という役割、国によって異なる映像制作のシステム・文化、映像表現の可能性ややりがいなど、撮影監督という仕事に携わるにあたり重要なことについて講義された。
Kevin Walker
アメリカ合衆国(イギリス在住)/ Royal College of Art, School of Communication, Head of Programme, Information Experience Design
- 受入期間
- 2017年5月15日(月)〜5月20日(土)
- 受入研究室
- デザイン情報学科研究室
- 担当教員
- 今泉洋教授
- 講義・指導内容
- 「情報体験(Information Experience)」ワークショップ
- 課外講座
- インフォメーション・エクスペリエンス・デザインとは?―Royal College of Artにおける実験的デザイン研究から―
Royal College of Art(RCA)コミュニケーション専攻分野に2012年に新設されたInformation Experience Design(情報体験デザイン)プログラムの主任教授を務めるケビン・ウォーカー氏は、認知学、文化学の理論をふまえた物理的空間におけるコンピューテーションとキュレーションの研究者として、またデザイナー、ライター、アーティストとして、デジタルおよび物的な複合領域で活躍し、『Hackers & Slackers』の著者としても知られている。その氏を招き、情報体験デザインの教育を本学学生が実践的に体験する機会を提供した。ワークショップは「de-computation」と題しグループワークで実施、コンピューティングによらない情報体験をデザインする実験プロジェクトとして行った。課外講座では、RCAにおける教育研究、学生の実践事例を紹介し、デザイン情報学の教育研究に関する理解を深めた。
竹田鎮三郎
日本(メキシコ在住)/ オアハカ州立自治ベニートフアレス大学芸術学部版画教授
- 受入期間
- 2017年6月12日(月)〜6月15日(木)
- 受入研究室
- 日本画学科研究室、油絵学科版画研究室
- 担当教員
- 内田あぐり教授、遠藤竜太教授
- 講義・指導内容
- 日本画・版画ワークショップにおける指導、講評
- 課外講座
- 竹田鎮三郎とメキシコ
竹田鎮三郎氏は1963年に日本からメキシコに渡りその後メキシコのオアハカに在住して以来、絵画や版画の優れた作品をメキシコにて精力的に制作・発表する一方、メキシコの若いアーティストの育成に携わり、教育者としても多大な功績を残している。2011年度の国際交流プロジェクト「OAXACA MAGICA-紙と土のちから:東京―OAXACA」では、オアハカにて、氏の教え子たちやオアハカのアーティスト、本学の学生や卒業生が参加する一カ月間の交流展を開催、会期中には両国のアーティストたちによる現地の手漉き紙と土の絵の具を使用したワークショップを開催した。2017年度は、日本画学科、油絵学科版画研究室共同で氏を招聘し、同専攻の学生がワークショップにおける指導や講評、講演を通じて、メキシコ滞在により育まれた氏の絵画や版画の世界および創作の源泉に触れ、大きな刺激を受けることができた。
Asif Khan
イギリス / 建築家、Asif Khan Ltd. 代表、Royal Collage of Art, School of Architecture, ADS2 Unit tutor
- 受入期間
- 2017年9月11日(月)~9月16日(土)
- 受入研究室
- 基礎デザイン学科研究室
- 担当教員
- 原研哉教授
- 講義・指導内容
- 領域横断的デザイン
- 課外講座
- テクノロジーが先導する建築とその可能性
アシフ・カーン氏はハイテクノロジーを用いた現代建築の様相を最もよく知る建築家のひとりであり、ロンドン五輪やソチ冬季五輪などの機会をとらえて、建築のより新しい在り方やリアリティを模索し続けている。ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートでも教鞭をとった経験もあり、学生に建築の可能性を伝えることをとおしてインスピレーションを与えていくことに意欲的である。今回の招聘では、カーン氏の建築、プロダクツ、家具などを横断しながら革新的に展開しているデザイン活動による豊富な経験をベースに世界の建築の先端性と分野にとらわれない革新的なデザインを体得する機会として、グループワークでのワークショップ、講義が行われた。「New Ingredients in Architecture」と題された課外講座では、氏の手がけてきたプロジェクトが紹介され、参加学生の活発な質問により、進行中のプロジェクトについてリアルタイムなお話をも聞くことのできる機会となった。
Georg Baldele
オーストリア(イギリス在住)/ プロダクト・空間デザイナー、Georg Baldele Studio代表
- 受入期間
- 2017年11月20日(月)~11月25日(土)
- 受入研究室
- 工芸工業デザイン学科研究室
- 担当教員
- 山中一宏准教授
- 講義・指導内容
- プロダクト・空間デザインにおける素材
- 課外講座
- Explorations of Materials
1998年よりロンドンを拠点に活動しているゲオルグ・バルデレ氏は、オーストリアを代表するプロダクト・空間デザイナーとして、著名なメーカーから数々の作品を製品として発表しながら、世界中の美術館やギャラリーをクライアントに彫刻的な作品やインスタレーションに近い作品も多く手掛けてきた。その姿勢はプロダクト・空間デザイナーでありながら商業主義に疑問を提起し、実験的な作品を発表し続けている。また氏の関心は素材へと向けられており、そこに新たなる可能性を発見してきた。今回の招聘では、紙と異なる素材との関係性(Paper Mix)を探究するワークショップを開催し、工芸工業デザイン学科の学生が作品制作におけるスキルではなく、より根源的な発想法や思想を学ぶ機会とした。課外講座では立体を学ぶ他学科の学生をも対象とし、「Work in Progress」をテーマに、氏の過去の作品やプロジェクトが紹介された。