安本雅

建築学科 ベルリン芸術大学 2025年4月〜2025年8月派遣

写真:安本雅

ベルリンから日本に帰国して1週間が経ちました。
ベルリンでの生活はもうすでに遥か昔のことのように思えて、どこか儚く感じられます。懐かしさと共に、また戻りたいという気持ちが強く残っています。

大学について
建築のコアクラスであるstudioでは多くの発言が求められました。夏学期だったからか授業はほぼ外で行われ芝に座ってコーヒーを飲んだりしたりしながらのカジュアルな授業は日本とは違ってとても印象的でした。とても発言しやすいフランクな雰囲気ではあったものの英語での発言は毎回とても緊張していました。議論の内容を十分に理解できていない時や、自分の発言番が近づいてくる時はパニックでした。よく隣にいる人などに何を話せば良いのかを聞いて教えてもらっていました。しかし、こうした緊張や戸惑いも今振り返ると貴重で恋しい思い出です。
提出のフォーマットや展示空間の設営、使用するマテリアルも学生たちに決定権があり、学生個々の表現やアプローチが尊重されている印象を受けました。ただ与えられた課題をこなすのではなく、学生自身が内容や方法を主体的に考え、仲間と協働しながら進めていくスタイルが根付いているように思います。出席も厳しく管理されているわけではなく、遅刻や途中退室、欠席も珍しくありません。しかし、それは決してやる気がないということではなく、むしろ「自由の中で自分の責任をどう果たすか」が問われていると感じました。
また、一緒に学んだ周りの学生たちの多くはドイツ外からの留学生であり、授業は英語で行われていました。ほとんどの人にとって英語は第二言語であり、それぞれの国のアクセントの英語が飛び交っていました。留学を終えた今でも自分の英語に大して自信はありませんが、これもアイデンティだと受け止められるようになりました。もちろん英語はもっと上達したいし努力中です。今までは英語を話すことに恥ずかしさや他人と比べて劣等感を感じていましたが今は学ぶこと自体を楽しみながら勉強を継続できています。

生活について
ベルリンでの生活は東京と比べたらとても不便だと思います。電車もよく遅れるしキャンセルされるし、コンビニはないし、ファミレスはないし、トイレもあんまりないしあっても有料だし、日曜祝日は大体のお店が閉まるし、、、、、、初めは文句が止まりませんでした。しかし、こうした不便さがあるからこそ、何もせずに過ごす時間や心のゆとりが自然と生まれることに気づきました。特に日曜日、公園や湖の辺りでなにもせずのんびり過ごすような時間は、日本ではなかなか味わえない贅沢なひと時だったと思います。
ベルリンの夏は最高です。公園でのんびり昼寝をしたりお酒を飲んだり、本を読んだり、絵を描いたり、湖で泳いだりと、人々は外で思い思いに過ごします。ベルリンは活気があり賑やかでありながら、時間はゆったりと流れるという不思議な感覚がありました。友人が連れてきた友人、そのまた友人と自然に輪が広がっていき、気づけばすぐに打ち解けて友人になれる——ベルリンは人と人とのつながりが自然に生まれる特別な場所でもありました。

最後に
5ヶ月間のベルリン生活は本当にあっというまで、勉強だけじゃなく人生観を広げてくれる貴重な体験でした。語学力が飛躍的に伸びたわけでもないし、性格が激変したわけでもありませんが、少しだけ度胸と勇気が備わったように思います。そして、さまざまな国籍、民族の人々が集まり、多様な言語が飛び交い、国境を超えて人々が自由に行き来する環境の中で、文化や歴史、言語や都市と人々の関わりなど、学びたいことがますます広がっていくことは日々をより楽しく豊かにしてくれました。
こうした学びや貴重な経験の機会を与えてくれ、支えてくれた全ての人に心から感謝しています。ベルリンで得た視点をもとに挑戦を重ね、自分なりの形で広げ、建築を通して社会や人とのつながり方を考えていきたいです。
そして、ベルリンで出会った友人たちと、いつかまたどこかで再会できるよう、これからさらに努力を重ねていきたいと思います。

山本遥翔

映像学科 ベルリン芸術大学 2025年4月~2025年8月派遣

写真:山本遥翔

結果から先に述べると、充足した実りある経験を得られた5ヶ月間でした。

私はドイツのベルリンに位置するベルリン芸術大学(Udk)のヴィジュアルコミュニケーション学科に所属していました。この学科はグラフィックデザイン、イラストレーション、情報デザインから空間デザインなど10個のコースを有しています。留学生はその中から希望のメインクラスを選択します。私はムサビで映像学科に所属しているので、主に映像作品の研究・制作を行うMoving Imageクラスを選択しました。

ムサビとは違う特徴的な点として、自分の専門とは異なる科目も横断的に受講可能ということです。前述したようにメインのクラスでは映像を学んでいましたが、その他にタイポグラフィの授業に参加していました。これまでは映像のことばかり学んでいたので、デザイン関連のことを新しく学べることを嬉しく思いました。タイポグラフィについて全くと言って良いほど知識がなかった私にとって、講義を通して学ぶ内容は新鮮で、印象深く記憶に残っています。

留学生活は楽しいことばかりではなく、言語の壁なども立ちはだかりました。ですが、いざ海外に身を置いてみると、当たり前ですが、英語やドイツ語を喋らなければならない場面に何度も直面します。自分の作品の意図や意見を伝えようと無我夢中で頑張っていたら、外国語を使ってコミュニケーションを取ることが少しずつ楽しくもなっていきました。

世界中から集まった留学生同士で友人を作ることもできました。また、学期末にはRundgangと呼ばれる大きな展覧会も開催され、半年間で制作した自分の作品の展示も行いました。5ヶ月という短い留学期間ではありましたが、日本にいては得難い濃密な時間を過ごすことができました。この経験を将来に活かせていけたらと今は考えています。