チョンダウンJung Dawoon

作品写真:火の発言 (Ferdi-nand)

火の発言(Ferdi-nand)Through the fire(Ferdi-nand)

和紙、エッチング、アクアチントWashi, etching, aquatintH1500 × W2500mm

作品写真:Centum (et) unus

Centum (et) unus

和紙、エッチング、アクアチントWashi, etching, aquatintH5000 × W5000mm

作品写真:Paranoidomnibus

Paranoidomnibus

和紙、リトグラフWashi, lithographH1000 × W2500mm

経験や欲望が一つ一つ切れになり、その破片は無秩序に、そして自由に並べられます。
その無秩序に並べられた物語は時々僕を感動させたり、緊張感に追い込ませます。
一つの無意識の言語である夢の要素を理想に近づけるため僕の作品(表現)に取り入れました。
そして、現実と理想の世界の間で行き交いながら絵を描く行為(そのなかで僕にとって銅版画はもっとも詩に近い)で夢(経験、記憶、欲望)を再構成し、直接に夢のなかに入り、時には美を追いかけ、時には森の奥の静かで美しい暗闇に嫉妬する感情を告白または記録しました。
(その意味で室外の壁の展示は美を追いかけるための一つの扉として役割をしています。)

チョンダウン

「火の発言」は作者の経験や欲望そして歴史上の事項を銅板上に破片として散乱させた後、無意識のうちに無秩序に並べることで、画面上に緊張感を持たせたという。暗い森を背後に棲み拡げられた物語は不気味でもあり、時を越え交錯し、光と闇を包摂する空間に焔と対峙する像は、作者の境地を放すように見える。在学中の2ヵ年間を母国の兵役制度により帰国し、兵籍にあったことが表現への欲望と思考を深め、分節を一瞬のうちに視覚的に把握する視座を持った、優れた銅版画を生みだした。

油絵学科教授 池田良二

波能かなみHano Kanami

作品写真:sleep.
作品写真:sleep.
作品写真:sleep.

sleep.

和紙、水彩絵具、水性木版画Washi, water-based paint, water-based woodcutH2432 × W8050mm

「欲求」を可視化する。
尽きる事の無い人間の欲求を描く事で生きる事とは何か、問いかけたい。
私は人間を人間たらしめるものは各々が内に秘めている欲求であると考える。
自分自身が、人が、何を望みながら生きているのかを見つめ、その中でうごめく感情の繊細な美しさを感じてもらえる作品を生み出した。果たしてここで横たわる女性が求めたのは安らぎか、それとも逃避なのか。

波能かなみ

この女性はいったい、どんな夢を見ているのだろう。

淡い色調にまとめられ、一見、消え入りそうな輪郭にかたちどられた人物像だが、時間がたつにつれてゆっくりと、瞼の奥底に染み入るように強く迫ってくる。木版画の概念を大きく逸脱したサイズや、ばれんで“ 描く” ように丁寧に刷り込まれた絵肌から発せられる繊細な空気感が、画面に宿るアウラを一層、増幅しているかのようだ。

眠ること、夢みること。

誰もが知っている、より普遍的な行いを愚直に描き切ることで、観る者それぞれの“ こころ” と“ からだ” を映し出す鏡のような、崇高な宗教性すら感じさせる静謐な画面の獲得に成功している。

油絵学科教授 高浜利也